後書き:「呼わばりの山」と今熊山の物語について

このたびは、創作小説【呼わばりの山】をお読みいただき、誠にありがとうございます。


物語の舞台となった今熊山は、東京都八王子市の自然豊かな山で、私自身も時折訪れてはその静かな山道を歩き、日常の喧騒から離れて心を癒しています。


武蔵五日市駅から京王八王子駅行きのバスに乗車し、6つ目のバス停である「今熊山登山口」に到着します。もちろん、逆に八王子駅から武蔵五日市駅行きのバスに乗っても、同じように今熊山登山口へアクセスできます。どちらのルートも時間はかかりますが、その分、山に向かう期待と自然の息吹を感じながらの旅となるでしょう。


今熊山のハイキングコースは、登りは自然の静けさに包まれながら頂上の今熊神社奥社を目指し、下りは金剛の滝方向へ向かって歩くコースが特におすすめです。金剛の滝は、その名の通り清らかな水が岩を流れ落ちる姿が美しく、訪れる人の心を癒す名所として知られています。私もこのコースを時々楽しみ、山の静謐さと水の音に包まれながら、思いを巡らせることが多いです。


この今熊山には、古くから不思議な風習が伝わっています。行方不明になった人や失せ物を呼び戻す「呼わばりの山」という伝承です。山頂の奥社の裏手には、祈りのしるしとして割られた茶碗や皿が掛けられているのが見られ、そこに込められた切実な願いと祈りを想像しそのことに深く心を打たれました。


この風習に触発されて、物語【呼わばりの山】を書き始めました。小説の中で描いたヨネという女性は、山の呼び声に応え、失われた者たちを永遠の時を越えて呼び戻す存在です。彼女の孤独と祈り、永遠の旅は、この土地の風習と重なり合い、読んでくださる皆様に少しでも響く物語となればと願っています。


私自身、この小説を書き進めながら、時折今熊山の山道を歩き、物語の中の風景を頭に描きながら、登山者の一人として山の息吹を感じていました。風の音、鳥の声、そして奥社の静謐な佇まいは、単なる自然の風景を超えて、何か見えないものの存在を感じさせてくれました。


もし、あなたも今熊山を訪れる機会があれば、ぜひ時間をかけて山の空気を味わい、奥社の茶碗に込められた祈りに思いを馳せてみてください。もしかすると、失われた何かを呼び戻す、あなた自身の「呼わばり」の瞬間に出会えるかもしれません。


最後に、この創作小説【呼わばりの山】をお読みいただいた皆様に感謝申し上げます。物語の世界と現実の今熊山が少しでも心の中で繋がり、皆様の心に小さな灯火を灯すことができたなら、これ以上の喜びはありません。


読後のご感想や感じたことをコメントでお寄せいただけると、とても励みになります。どうぞよろしくお願いいたします。



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#呼わばりの山 #今熊山 #八王子登山 #失せ物伝承 #創作小説

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呼ばわりの山 ポチョムキン卿 @shizukichi

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