静かに、心に染み入るような物語でした。
『心臓と悪魔』は、図書室という小さな世界の中で紡がれる、ふたりだけのかけがえのない日常を描いています。
明るく奔放な咲良と、そんな彼女を見守る“悪魔くん”との、たわいのない会話の積み重ね。そのひとつひとつが、読み手の心にそっと灯りをともしていきます。
やがて訪れる別れの影が忍び寄っても、二人は「普通の一日」を大切に生きようとする。その姿はとても愛おしく、静かな強さを感じました。
エントロピーというテーマが優しく全体を包み込み、終わりを受け入れること、営みを続けることの意味をそっと問いかけてくれます。
優しく、でも確かに胸に残る作品でした。
咲良の言葉が、読んだ後もしばらく心の中で揺れていました。