第6話:超常者
プリ姉の新たな一面『異名認定士』。
ランクの高い人物を見つけ出して精査し、異名を認定することが誉れだという。
人外の領域……既存のランクでは推し量れない超常者。
世界でただ一人の
「すごいやプリ姉! 唯一のSSS級をプリ姉が認定したなんて!」
「くっふっふ。そうでしょ、そうでしょ〜」
「へ〜、この子がルジーちゃんなんだ。ミレイアと同じくらいの歳だよね?」
「そう見えるでしょ? 14歳の時に出会ったんだけど、アタイも同い年だと思ったもん。でも、これで100歳越えてるんだよね」
えぇ!?
いやいや、どう見ても可憐な少女にしか見えないんだけど……。
「老化ってのは、魂の劣化から生じるって言われてる。でも、強い力を持った人間は魂が魔力の膜で保護されて、老化しなくなるらしいんだよぉ」
「へ〜、不老不死ってこと?」
「不死ではないけどね。魂が全盛期の姿で成長を止めちゃうんだってさ。ルジーちゃんにとっては、この14歳の姿が全盛期ってことなんだろうね。まぁ可愛いし!」
ルジーちゃんの事を話すプリ姉は、どこまでも嬉しそうだった。ルジーちゃんのことが本当に大好きなんだろうな。
プリ姉の親友ルジーちゃん……いつか会ってみたいね。
「まぁいずれ会うことになるよぉ。ルジーちゃんとの約束もあるし!」
「約束?」
「くふふ。まぁドレーくんなら大丈夫だから、頑張ってね!」
大丈夫? 頑張ってってなにが?
プリ姉に聞いても、結局笑うばかりで答えてはくれなかった。
まぁ、二人の約束を聞き出すのも野暮ってやつかな?
「おっと、つい話し込んじゃった。さ、片付けの続きしてこよぉ〜」
「あ、ごめんね。時間とらせて」
「いいのいいの。近いうちにもう一人SSS級を認定する予定だから、色々説明しときたかったしね!」
「え、もう一人認定するの?」
「そ。するの〜」
そう言い残して、プリ姉は行ってしまった。
新たなSSS級……世の中にはすごい人がいるもんなんだなぁ〜。
☆
今ぼくが見ているのは、ルジーちゃんがいる『ライザール皇国』の
国別、名前順に並んでいるから、お目当ての人がいたら見つけやすい仕様になっている。
「あ、この人だ」
ぼくが探していたのは、一人の女性だった。知らぬ人はいないとまで言われる、世界に名を馳せた
ぼくの傷を癒してくれたミレイアの治癒魔法。その治癒魔法の全てを構築したとされている『始まりの治癒士』。
【糸紡ぎの聖女 アラテア】
ミレイアが身を置くことになったセルミア教団の修道女でありながら、治癒士として多くの人々を救い続け、やがて聖女とまで称えられるようになった女性だ。
聞いた話によると、戦場で数千人の負傷兵を一気に治癒したことがあるらしい。
ミレイアを見ていたから知っているけど、治癒魔法はかなりの精神力と魔力を消耗するから、一人の怪我を治すだけで疲弊してしまう。
それを数千人規模で行使するなんて……いかにアラテアさんが規格外なのかが分かる。
「ランクは……
つまり、SS級はアラテアさんのような規格外の人たちばかりってことだ。
それ以上のルジーちゃんって、やっぱりすごいんだなぁ。さすがはプリ姉の親友だ。
「そうだ。もう一人見たい人がいるんだった」
ぼくは『ガスゴール』が載っていないかを調べ始めた。
ロヴァニア帝国が堕落した原因。彼女にどんな思惑があったのかは分からないけど、皇帝を目指す身としては知っておきたい人物の一人だった。
ページをめくり、ガスゴールの名前を探していく。でも──
「あれ、いないなぁ……」
何度見てもガスゴールの名前は見つからない。『エルキオン公国史上最高の天才』とかプリ姉が言ってたし、載ってそうなものなんだけど……。
「あ、そっか。エルキオンのところに載ってるのか」
ガスゴールはライザールに所属してるけど、出身はエルキオンだったね。
エルキオンのページを開き、目を通しながらガスゴールの名前を探していく。でも──
「……あれ? いないなぁ」
やっぱりいない。
うーん。本人が拒否したとかの理由で、異名持ちにはなってないってことなのかも。
「クラウリー皇帝は載ってないかな」
そのままページを進めていく。
エルキオンの異名持ちは、やはり『発明と情報の国』と呼ばれるだけあって、魔導具技師などの発明家ばかりだった。
ランクはB級がほとんど。まぁ武力は無さそうだもんね。
「載ってないかぁ」
残念ながらクラウリー皇帝も載ってなかった。もしかしたらロヴァニア帝国の方に──
「……ん?」
一人の女性に目が止まる。
とても綺麗な人だった。銀色の髪に水色の瞳、瞳孔には結晶のような六角形の模様が浮かんでいる。不思議な魅力がある瞳だ。
発明家ばかりの中で、エルキオンでは希少な戦士型の異名持ち。
「【
月光が人の形を成したら、この人になるんじゃないか……そう思えるほどに、繊細で、神秘的で──
「……SS級だ」
── そのランクに恥じぬ力が、写真越しにこちらを見返してくる気さえした。
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