どうやらここは、乙女ゲームの世界のようですわ。

❄️冬は つとめて

どうやらここは、乙女ゲームの世界のようですわ。【妹】

第1話 どうやらここは、乙女ゲームの世界のようですわ。

卒業式後におこなわれた舞踏会で、それは起こりましたわ。


「マロン・グラッセ公爵令嬢、お前との婚約はこの場で破棄する!! 」


ディザート王国、パテシエ王太子のその声で思い出してしまいましたの。


ここは乙女ゲームの世界だと言う事を。


なんと言うことでしょう。


よりにも寄って最後の断罪の時に思い出すなんて。


「マロン・グラッセ。お前は市井の出だとストロベリー・タルト男爵令嬢を虐め、辱めた!! 」


そうですわ。

わたくしが前世でたしなんでいたあの乙女ゲームですわ。


「お前は、ストロベリー・タルト男爵令嬢に嫉妬し、階段から突き落とし怪我をさせたのは分かっている!! 」


間違いありませんわ。

パテシエ王太子が、ヒロインを庇い婚約者を断罪するシーンですわ。


「パテシエさま。私が悪いのです。マロン様を責めないで、私が私が、パテシエさまを愛してしまったから。」


よよと泣き崩れてますわ。

ゲームを嗜んでいた時は思いませんでしたが、今思えば婚約者のいる殿方に手を出すのはものだと思いますわ。


そんなものを嬉々として嗜んでいたなんて、なんとわたくしは愚かだったのでしょう。


「ストロベリー、君はなんて優しいンだ。」

「パテシエさま。」


見詰め合ってますわ。


二人の世界なのですか? 

周りに人が沢山見ておられますわよ。


頭の中はお花畑ですか? 

恥ずかしくはないのですか?


「マロン・グラッセ公爵令嬢!! お前の心は醜い、到底この国の国母には相応しくない!! 」


何を言ってますの殿は。


「寄って、私はこのマロン・グラッセ公爵令嬢との婚約を破棄し、心優しいストロベリー・タルト男爵令嬢を新しい婚約者とするとする!! 」


心優しい? 

令嬢が婚約者のいる殿方に手を出すはずわ御座いませんわよ。


よしんば、心引かれたとしても後に控えている殿方達にも手を出すのはどう言うことでありましょう。


ほんとに、愚かでしたわ。


あのような貞操観念の低いヒロインを喜んで嗜んでいたなんて。


それにコロッと騙される殿方達。

それで国を護れるとお思いでしょうか? 


この婚約は政略結婚で合って、国の基盤を強くするための婚姻ではなかったのでしょうか? 


「パテシエさま。」

「ストロベリー。」


ああ、見るに堪えませんわ。

周りの者達も、何も言わないのですか? 


ここは乙女ゲームの世界であっても、其れ其れにを生きておられるのでしょう? 


可笑しいとは思う者はおられないのですか?


「マロン・グラッセ公爵令嬢!! お前は未来の国母を傷付けた罪で、国外追放に処す!! 」


馬鹿なのですか? 

誰が未来の国母なのですか? 

国王陛下もご存じの事なのでしょうか? 


だとしたら、この国はもう終わりでしょう。


「処刑さなかった事を感謝するがいい!! マロン・グラッセ公爵令嬢!! 」


何ですか? 

その俺は凄いと陶酔仕切った顔は。


恥ずかしくはないのですか? 

恥ずかしくないのでしょうね。


「さっさと出て行け!! マロン・グラッセ公爵令嬢!! 」


大きな声を出さなくても聞こえてますよ。自身を誇示するために大きな声を出すなんて、愚か者のする事ですわ。


ああ、ほんとに周りの者達は何も言わないのですね。こんな王太子が国王になったら如何する積もりでしょう。このお馬鹿様を諫める者はおられないのですか? 


国を思う、忠臣はおられないのですか?


ああ、ほんとににわたくしは居りたくはありませんわ。

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