第2話

ドンドンッガチャガチャ


朝っぱらから古ぼけた宿が悲鳴をあげるような勢いでノックしているやつがいる。

面倒なので居留守を使おうかと思ったがなかなかしつこい。


カギを開けて出ると誰もいない。


寝ぼけた頭には難解すぎるこの謎をぼーっと考えながら冒険に出る支度をする。


さて今日の朝飯はいつものモスターレのパルタ包みだ。

ダンジョン入り口への道中にある馴染みの店に立ち寄る事に決め、銅貨を数えながら歩く。


残り3枚。


ぎりぎりダンジョンへは潜れそうだ。

小さくガッツポーズしているうちに店に着いた。


席に着くまでの間に、今朝ドアがガチャガチャされただの、最近ダンジョンで盲目の魔法を使う新種の魔物が現れただの、おっさん達のどうでもいい会話が耳に入ってくる。


朝からおっさん達と会話したくないのでスルーする。


モスターレは海に住むアレをアレしたらできるもので、そのパルタ包みはこの店の看板料理だ。

銅貨1枚で買えるし腹持ちもいい。

貧乏冒険者の定番朝飯になっている。


ものの10分で食べ終わり店を後にする。


ダンジョン入り口に着いた。

所持金の最後の銅貨2枚を管理人に渡し、転送用魔法陣に足を踏み入れる。


それと同時にトイレに行き忘れた事を思い出したが、振り向いたらすでにダンジョンの中だった。

まあいいか。



3時間程経ったであろうか。


ゴブリン1匹を仕留め銅貨2枚を手に入れたものの、

それ以外の戦闘では全て逃げてしまった為、ペースが上がらない。


我慢の限界である事を思い出し、できるだけ他の冒険者が通る道は避け、マップでも隅の方を小走りで探索する。


今夜野宿の可能性を考えつつ、周囲を警戒しながら壁に向かって用を足していると、遠くにわずかに光る銀色のものが見えた。


小走りで近づく。


やはり予想通り、直前に魔物と相打ちになったであろう冒険者が横たわっていた。

急がないと。


しかし荷物をあさっても何も出てこない。


冒険者証はあったが、見えた瞬間投げ捨てたので名前すら不明だ。

徒労感に襲われながら、諦め立ち上がったその時、

急に目の前が真っ暗になった。




立ちくらみだ。


急激に立ち上がった事を反省しながら、意識が無くなりそうな狭間の状態を耐えていたが、どうやら冒険者の体の上にフォールする形で倒れたようだ。


ャリッ


何か、微かな音が聞こえた。


すぐ回復し辺りを見渡すが何もいないし音など聞こえない。

もう一度倒れてみる。


チャリッ


今度は確実に聞こえた。


半信半疑ではあったが、念の為倒れた冒険者の両足を持ち上げ勢いよく落としてみる。


チャリッ! 

チャリッ! チャリッ! 

チャリッ! チャリッ! チャリッ!


銅貨6枚。

これ以上は出ないようだ。


拾う時に少し腰を痛めたので地上に戻る事にする。



地上に転送されると、いつものヒヤリとした冷たくも心地よい空気が出迎えてくれた。

仕事を終えた後の空気は美味い。


管理人に今日の成果を聞かれたが、1匹と1人とは言えない。

曖昧にピースサインでごまかしつつ、宿への道を急いだ。


          第二話完

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本日の収支


収入

・ダンジョンドロップ 銅貨8枚

支出

・いつもの      銅貨8枚


収支         銅貨±0枚


所持金 銅貨3枚

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