(後編)
「問6次の言葉をギリシア語に直しなさい「公現祭」」
おっ、噂をすれば下の問題の答えが2013年の菊花賞&2014年のジャパンカップ勝ち馬。エピファネイアだ。でもギリシア語の講義で公現祭なんて習うのかねぇ…俺はシーザリオとエピファネイアを次々解答欄に書いていく。
「問7次の言葉をフランス語に直しなさい「勝利」」
これは「届いた祈り、叶った夢」のヴィクトワールピサのヴィクトワールだ!
2011年震災に打ちひしがれる日本をドバイワールドカップでの勝利で勇気づけたとされるヴィクトワールピサ。確かピサは馬主の会社名だったか。その他皐月賞や有馬記念も制した2010年代に欠かせない名馬だ。俺は「ヴィクトワール」と書いて次の問題に進んだ。
「問8旧約聖書のイスラエルの士師の1人で怪力の持ち主として知られるものの名前を答えなさい」
聖書は知らないが…答えはサムソンだな。2006年の皐月賞、日本ダービー馬&春秋天皇賞制覇馬のメイショウサムソンの名前にもなっている。メイショウサムソン…もう亡くなってしまったけど良い馬だったなぁ…ディープインパクトの陰に隠れがちだけどやったことは2000年代の馬でもトップレベル。リアルタイムで見たかった馬の一頭だ。
「問9ベルギー王国ワロン地域にある面積175.69㎢の都市でアルデンヌの交易ルートの中継地だった都市の名称を答えよ」
知るかぁ!何で面積だけ出しちまってんだよ。ワロン地域の都市なんてナミュールしか知らねぇよ!適当に「ナミュール」って書いておこう。ナミュールもいい馬だったな。康太がテン乗りでG1制覇まで言ったことは記憶に新しい。ラストランは不完全燃焼になっちゃったけど無事に帰してくれたデムーロ弟には感謝しかないね。
「問10イタリア共和国マルケ州にあり、アスクルムの戦いの舞台となった都市の名称を答えよ」
確かアスクルム…アスクリ…アスコリピチェーノだ!ついこの間G1を勝ったばかりなのに忘れてた。現役馬だな。ルメールは評価しているみたいだしどれだけ頑張れるか期待だな。
この10問で試験が終わった。やけに短かった気もするけどまぁいいや。俺は全問正解した気で自宅に帰っていった。
「あなたの試験結果は60点ね…普通ならこれでもギリギリ合格なんだけど…いかんせん出席日数がねぇ」
教授は僕を呼び出してそう言った。
「いやおかしいでしょう。だって俺の答え全部あってる気しかしないんですけど!」
そう俺が言うと教授は僕に模範解答を見せた。
「あのね…ジェンティルドンナじゃなくてGentildonnaってイタリア語で書かなきゃ…あなたは犬を英語で書けって言われて「dog」と書かずに「ドッグ」って書くタイプ?」
「・・・・」
盲点だった。そう言えばそうじゃないか何で俺は誤解してたんだろう。スペルをちゃんと書かなきゃダメじゃないか。それでソダシ、ジェンティルドンナ、エピファネイア、ヴィクトワールが×になったのかよ。
「教授…そこを何とかお願いしますよ」
俺は教授に泣きついた。
「仕方ないわね…意味は分かってたようだし、勉強もしたみたいだから特別に、本当に特別にギリギリ合格にしてあげるわ。何か平均点も低かったし」
「教授~♡」
「ちょっと抱き着くな!」
こうして俺はギリギリ留年を免れたのだった。
ただ代わりにめちゃくちゃな量の課題を出されたので競馬場に行けなくなった。
留年ギリギリの競馬カス大学生俺。競馬知識で期末テストで無双する UMA未確認党 @uma-mikakunin
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