留年ギリギリの競馬カス大学生俺。競馬知識で期末テストで無双する

UMA未確認党

(前編)

「はっきり言ってあなたはこのままだと留年です」

大学3年生の俺こと馬場草太郎はただいまとんでもない事態に立たされている。

「何でよ!俺は毎日あくせく通ってただろうが!」

「競馬場にね!講義は競馬場でしてるわけじゃないんだから大学に来なきゃ意味ないのよ!」

境教授は声を張り上げる。

「そんなこと言われても毎日馬が走ってるのが悪いんですよぉ…グスッ」

「半泣きになったって意味ないの!」

教授は僕の胸ぐらをつかんでそう言った。

「どうすればいいんですかぁ…」

「次の試験で満点を取りなさい?そうすればギリギリ及第点ってことにして単位を上げるわ」

「んなこと言われても困ります…」

俺は困惑した…そんなことができるわけないじゃないかただでさえ試験が難しいのに?てかこの教授が何を教えているのかもよく知らないのに…

「でなければあなたはもう1度3年生になるわねぇ?」

「わ、分かりました!」

俺はすぐに家に帰って勉強を始めた。




「しまったよぉ…今度のオークスの予想しちゃってたよぉ…」

実を言うと俺は全く勉強できていなかった。ずっと頭の片隅に馬についてのことがあったからである。

「しかしまぁ…足が重い。調教鉄みたいだ…」

俺の足はダートの田んぼ馬場より重かった。しかし行かなければならない。でないと後が怖いからである。



会場に入ると境教授が登壇していた。

「遅いわね。馬場君?まぁ良いわ。早く席に着きなさい?」

言われるがまま俺は席に着く。試験用紙が配られるので名前を書き、学生証を脇に置く。

「板書してあるけれども試験時間は70分、30分から退室可よ」

境教授の説明もなかなか頭に入らないでいた。


ぼーっとしていると「始め!」の一言で現実に引き戻される。

問題用紙を表にするとそこには問題が書いてあった。

「問1古生代の後期から中生代の前期に賭けて超大陸パンゲアを取り囲んでいた唯一の超広大な大洋は何か」


俺は驚愕した。これ答えパンサラッサじゃね?と。バカ逃げ馬でありながら吉田豊を背に2022年のドバイターフ、そして2023年のサウジカップを制し芝ダート両方の海外G1を制した名門矢作厩舎の1800m専パンサラッサ。確か父親の名前から連想してその名前が付いたと聞いているが…

(まさかこんな所で競馬知識が役に立つとはな…)

俺は解答用紙の問1に『パンサラッサ』と書き込んだ。


運よく一問目を取ることに成功したが、2問目はそうはいかないであろう。

「問2次の言葉をサンスクリット語に訳しなさい『純粋』」

は?サンスクリット語って何だよ。こんなもの教えてたのかあの教授…まぁ答えはソダシだけどさ。世界初の白毛のG1馬にしてオーナーの努力の結晶。真っ白な毛によって人気を博し2歳からアイドルホースに選ばれながら牝限とはいえG1を3勝した女傑…正しく名前の純粋に違わず真っ白な毛で活躍した馬だが…サンスクリット語なんて大学で学ばないだろ。チラ見してみると周りも中々苦戦している様子。

俺は占めたと思いながら解答用紙に『ソダシ』と書いてみた。


「問31853年にペリーが来航しましたがその時に乗っていたものは?」

そんなもんクロフネに決まってるだろうが!と思って俺は思い直して書き直した。『黒船』じゃんとカタカナじゃだめだ。そっちに乗って2001年NHKマイルカップに来航してきたのは武豊だよ!馬に乗って太平洋を渡るな。

クロフネは前の答えのソダシの父親でもある。いや確かにここまでカタカナ続きで油断してたけど本来こっちが正常だよな。何で小学校レベルの歴史問題が出たのかは知らないけど。俺は問3に「黒船」と書きながらそう思った。


「問4次の言葉をイタリア語に訳しなさい『貴婦人』」

はいはいジェンティルドンナね~。良く言われてるからね貴婦人って。桜花賞、オークス、秋華賞の牝馬3冠を達成したG1,7勝の女傑。その割に実は2冠目のオークスで3番人気だったのはあまりにも有名な話。しかしまぁサンスクリット語かと思ったら次はイタリア語って何の講義だったんだか…俺は『ジェンティルドンナ』と書いておいた。


「問5 シェイクスピアの著作十二夜の主人公の男装時の名を答えなさい」

何だよ十二夜ってさ!俺リア王とハムレットしか知らねぇぞ!まぁ確か競走馬で男装時の名前がついてる奴がいたはずだ。シーザリオ。2005年のオークス&アメリカンオークス馬

たくさん種をまける牡馬と違い中々血統表に残りにくい牝馬の中でもトップクラスに名を残しているG1馬だ。主にエピファネイア、リオンディーズ、サートゥルナーリアの三兄弟の影響である。問題も後半戦だ頑張っていこう。

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