第43話 天災、魔王の正体に気付く。
※本日2回更新です。
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──ロックたちと離れて、ダンジョン内のモンスターたちの相手をしているバリオスとモア。
「ほらほらほら! ザコモンスターどもはかかってこいっス! モアのこの大剣で叩き潰してやるっスよ!!」
自身の身長よりも遥かに大きい大剣を振るうモアは、ゴブリンやオークの群れに向けて、巨大な鉄の塊をジャイアントスリングする。
「グゴォォォォォォォ!!」
振り回された大剣にぶち当てられたモンスターは、血肉を撒き散らしながらダンジョンの壁や地面を赤く染め上げた。そしてそれは彼女自身も同様だった。
「アッハハハハハハハハハァ!! ほらほら死ね死ね死ね死ねぇ!!」
全身に血を浴びながら大剣を振るう少女の顔は、14歳という幼さを一切感じさせない、悪鬼羅刹のごとき恐ろしい顔をしていた。
「チッ……! おいモア!! テメェ俺のこと忘れてンじゃねェだろうな!?」
狭いダンジョン内で、3メートルをゆうに超える長物を振り回せばどうなるか。
当然、味方にも直撃する可能性があるし、何よりダンジョンを破壊することによって落石や陥没の可能性も大きくなる。
そのためバリオスはモアと行動する際はダンジョンを選ばずに別のクエストを受けていたのだが、今回ばかりは状況か悪かった。
(モアは戦闘となると頭に血が昇りやすくなり交戦的になる……ったく、アイツは自分が孤立する原因がどこにあるのか気付いてンのかよ?)
モアの攻撃を恐れて尻込みするモンスターたちを、雷を
モアは元々、普通の冒険者だった。
だが性格や他を
そしてそれは、彼女が
そんな彼女を哀れに思ったバリオスが、彼女を真っ当な冒険者に、そして世界を護るための存在──
数年後、すっかりバリオスに懐いたモアは、バリオスの言う事はある程度聞くようにはなったが……。
こと戦闘においては、彼女自身の持つ闘争心が、バリオスが後付けした
(こりゃあ、このクエストが終わったら説教してやらねェとな──)
そんなことを考えつつ、モンスターを的確に倒してゆくバリオス。
だが、そんな彼の動きが唐突に止まる。
「ンだよ、この馬鹿みてェな威圧感はッ……!?」
握り締めるハルバードに、自然と力が籠る。
ビリビリと肌を焼くような感覚が全身を駆け巡り、バリオスは強いプレッシャーを放つ場所を割り出そうと周囲を見渡す。
そこでふと、モアと交戦中だったモンスターたちがある一点をジッと見据えたまま動かなくなったことに気付いた。
(なンだ? コイツらには今、何が見えてンだ……?)
ゴブリンにコボルト、スライムにオーク。
ダンジョンの奥から次々に現れるモンスターたちが、的である二人を前にして行動を完全に停止させ、ある一点を見つめたまま
まるで何かに祈るような姿勢。
彼らに信仰心があることに驚くバリオスだったが、同時に「モンスターたちが何を拝んでいるのか」を、
「──モアッ!! ザコども放置してさっさと行くぞッ!!」
「アヒャハハハハハハハ…………はい?」
「はい? じゃねェ! そいつらと遊ンでる場合じゃねェって言ってンだ、さっさとしろ!!」
ハルバードをモアに投げながら、バリオスは
モアは、投げつけられたハルバードを
「ちょっとバリオス先輩!? アイツらそのままにしてていいんスか!? モアはまだヤリたりないんスけど!!」
「テメェの意見なンぞ知るかボケ!! つーかあの状況を見てまだそンなこと言えンな!?」
「──まさか本当にグレイのおっさんが言ってた通りだったとはな……! オラ、こンなとこでモタモタしてる暇はねェンだ、さっさと行くぞ!!」
先ほどのモアに負けないくらい表情を歪めるバリオスは、このままじゃ間に合わないとモアを抱き抱えて一気に加速する。
急にお姫様抱っこされたモアは顔を真っ赤にするが、バリオスはそんな彼女の反応に気付かない。
彼の頭の中にあるのは、はじめてロックと敵対したときに一瞬だけ感じた異様な程の魔力と
全身を焼くようなビリビリとしたこの感覚は、そのときとまったく同じものだった。
バリオスはモアを担いだまま、ロック達が向かった先へと駆け抜けていった。
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※続きは12時3分に更新します。
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