第16話【開幕】

〇 舞台裏・開演直前


緞帳の裏、6人がそれぞれの場所で待機している。

照明の気配、観客のざわめき、

空気の震えが伝わってくる。


スタッフの声(小声)

「5分前です。スタンバイお願いします。」


緊張に息をのむ中、

ゆい子が力丸にそっと話しかける。


ゆい子

「今日のあなたの歌、どこまで響くか、

見せてもらうから。」


力丸

(微笑んで)「手加減なしで、ね。」



〇 舞台・第一幕開始


舞台は静かに始まる。

力丸ともえのデュエットシーンから、

物語は動き出す。


力丸(歌)

🎵「失くしたものを探してた 

君の声がその答えだった…」


もえ(歌)

🎵「戻れないと知ってても 

私はまだ ここにいる…」


観客席が静まり返る。

舞台上では、

ふたりの心が本気でぶつかっているのが伝わる。

歌の終わり、ふとした間に、力丸の目に涙が滲む。



〇 舞台裏・一時退場中


翔太が控室でギターを持ち直し、つぶやく。


翔太

「やっと…

今、ここにいる意味がわかった気がする。」


その隣に、ゆい子。衣装の裾を整えながら。


ゆい子

「だったら、今日くらいちゃんと響かせなよ。

あなたの音で。」



〇 舞台・中盤


翔太とゆい子のシーン。

ふたりの“諦めと希望”が絡む切ない場面。

舞台の照明が淡く落ちる中、

アコースティックギターが響く。


翔太(歌)

🎵「傷ついたっていいさ 誰かに届くなら…」


ゆい子(静かに)

「ねえ、あなたは何かを諦めたことある?」


翔太

「ある。

でも今、ひとつだけ掴みたいって思ってる。」


ゆい子

(目を伏せながら)「それって…私?」


沈黙。翔太、答えずにギターを弾き始める。答えは、音の中に。



〇 舞台・終盤直前の袖


あこと圭吾が袖でスタンバイ。あこは緊張で震えている。

圭吾がそっと手を伸ばす。


圭吾

「大丈夫。

俺の目の前で、自分を信じてくれればいい。」


あこ

「……圭吾、ありがとう。

でも今は、“役”としてあんたにぶつかるよ。」


圭吾

(ニヤッと)「望むところだ。」



〇 舞台・クライマックス直前


6人全員が揃い、ついに舞台のラストシーンへ。

緊張の中、それぞれの“想い”が混じる。

演技と現実が曖昧になる。


もえが力丸に言う。


もえ(台詞だが本音)

「過去にしがみつくあなたが嫌いだった。

でも、今のあなたなら

…未来にいてもいいと思った。」


力丸、演技を崩さずに、まっすぐ見つめて答える。


力丸(歌)

🎵「誰よりも強く 君を信じたあの日に

 今、やっと たどり着いた──」



〇 カーテンコール直前(舞台裏)


圭吾がみんなに目配せする。

誰も言葉にはしないが、心が一つになっているのが伝わる。



♪エンディング曲(6人合唱+観客拍手SE)


🎵「この舞台が終わっても 僕らの物語は

 まだ続いていく それぞれの未来へ──」

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