第15話【幕が上がる、その前に】
〇 稽古場・夕方
本番前日。最後の通し稽古が終了。
稽古場には重くて張り詰めた空気が漂っている。
スタッフ
「じゃあ明日、本番よろしくお願いします。
舞台入りは朝8時。」
もえ
「……はい。」
みんな、声を出しながらも
どこか緊張と不安が滲んでいる。
⸻
〇 控室・夜
6人だけが残っている。
お互い口数が少ない。翔太がぽつりとつぶやく。
翔太
「……明日、舞台の上で何かが変わる気がする。」
ゆい子
「うん。でもそれ、楽しみでもある。」
みんな、なんとなくうなずき合う。
⸻
〇 屋上・夜
あこが一人、
明日の衣装を手にして空を見上げている。
そこに圭吾がやってくる。
圭吾
「こんな寒いとこで何してんの?」
あこ
「自信…ないだけ。
私なんかが、この舞台に立っていいのかなって。」
圭吾
(真剣なまなざしで)
「“私なんか”って言うなよ。
お前は、自分のままで舞台に立っていい。
誰かの代わりじゃない、
“あこ”の役はお前しかできない。」
あこ、驚いたように圭吾を見る。
そして、少し泣きそうになるが、こらえて笑う。
あこ
「……うん。ありがとう。」
⸻
〇 力丸の自宅・夜遅く
力丸が、録音した自分の歌を聴きながら、
一人で鏡の前に立っている。
スマホに手を伸ばし、もえにメッセージを打つが、
送れずに画面を閉じる。
力丸(心の声)
「今は、舞台がすべてだ。
俺の気持ちは、あの中に全部込める。」
⸻
〇 もえの部屋・同時刻
もえもまた、台本を抱えてベッドに座っている。
そっと、力丸との写真を見つめる。
もえ(心の声)
「明日、私は“役”として、でも自分としても
――終わらせなきゃいけない。」
⸻
〇 舞台裏・本番当日 朝
全員、衣装に着替えてスタンバイしている。
圭吾がみんなに目をやる。6人それぞれの覚悟が、その表情に出ている。
圭吾
「この舞台は、俺たちの全部をかけた物語だ。
いいか、今日から先は、
“演じる”んじゃなくて“生きろ”。
幕が開いた瞬間から――お前らは本物だ。」
⸻
♪エンディング曲(6人全員でアカペラ)
🎵「言葉にできない涙も
舞台の光が照らしてくれる
この一瞬に、生きるんだ──」
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