港崎猫又花魁帖――みよざきねこまたおいらんちょう――
宮乃崎 桜子
第1話
横浜港に突き出たエゲレス波止場の先端
積荷の陰に光る獣の双眸
漆黒の闇にとけた鴉が積荷の上で「クゥアァ」と啼いた
とたんに「きしゃぁっ」と唸られて
鴉は大きな羽音をたてて飛び立った
横浜の港には化け猫が出るそうだよ
異人の船で運ばれた化け物かね
夜は出歩いちゃいけねぇよ
化け猫と異人に取って食われちまうからな
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