人生の岐路、恋愛の岐路

水谷一志

第1話 トライアングル

 人は、どうして人を好きになるのだろうか?


こういう哲学的な問いを考えてしまうということは、俺は「末期症状」なのか?


ではもう少し幅を狭くしよう。


人はどうして、好きになってはいけない人を好きになるのだろうか?


※ ※ ※ ※


「宏樹、おはよう!」


幼なじみがいつものように、いつもの高校の自転車置き場で俺に声をかける。


「愛子、おはよう!」


俺はいつも期待してしまう。その笑顔を独占したい。俺にだけ笑いかけて欲しい―。


 俺の心のスイッチは、正常に機能しているだろうか?感情のギアが爆発して理性のスイッチが追いついていないかもしれない。それはちょっとマズいな。


「よう宏樹、今日も朝から爽やかスマイルだな!」


 愛子の横にいる勇樹がそう言うからには、俺の脳の回路はバグを起こしていないということだろう。


「当たり前だろ!」


 ―この回路こそ大丈夫だろうか?俺は慎重に作り笑いを作成した。

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