マーチの酒場

マーチ「ここがあたしの店だよ!」

ガヤガヤ ガヤガヤ

酒場の客「おぉ~マーチ可愛い子つれてきたね~」

マーチ「あんたらねぇこんな朝っぱらから呑んでんじゃないよ!この子らは大事なお客様なんだから変な事するんじゃないよ!

それはそうと、お2人さん宿屋の部屋はこっちだよ」

そう言われ2人がマーチのあとをついて階段を上ると、その先の1つの部屋に通された。

その部屋には大きなベッドが1つと椅子、机が置いてあった。

マーチ「大した部屋じゃないけど、ここで休みな。お手洗いはさっきの階段を降りて外に出たところにある。あ、それとベッドがもう1つほしいなら言ってね」

ルカ「色々とありがとうございます」

マーチ「良いってことよ!腹が減ったら下の酒場に来ると良い

ちょっと安くするからさ」

アリア「分かりました!ありがとうございます!」

2人はいくつかの荷物を置いて村をまわることにした。

村自体はそんなに広くなく規模としてはマリノ村よりも一回り大きい程度だった。

村をまわっている途中で2人はパン屋を見つけた。

売っているのは、どこにでも売っている見慣れたパン。

値札には、10メールと書かれていた。

2人は買うか少し迷ったが、まだ村から持ってきたパンがあったため、買うのはやめて引き続き村をまわった。

村をまわり終えたころ、ちょうどお腹のすくお昼頃だった。

お腹の減った2人は、マーチの酒場へ行った。

マーチ「おや、お2人さん昼飯かい?」

アリア「はい!村をまわっていたらお腹がすいてきまして」

マーチ「そうかいそうかい!それじゃすぐ作るからちょっと待っててね」

ルカ・アリア「はーい」


~10分後~

マーチ「お待たせ!2人とも!これはウサギのスープとパンだよ。パンをちぎってスープに浸して食べると良い」

ルカ・アリア「美味しそ~!いただきます!!」

ルカ「ウサギの肉とトマトの味が染み込んだスープにただパンを浸すだけなのに、こんなに美味しくなるなんて!」

アリア「それに、このパンうちの村から持ってきたのと違って柔らかくて食べやすい」


~食事後~

マーチ「喜んでもらえたようで良かったよ。お代は、1人10メールね」

アリア「え?それだけ!?パンだけじゃなくスープもあったのに…」

マーチ「普通は1人20マーチは取るけど、今日だけは特別だよ!」

ルカ「それじゃあ夜もまた来ます」

そう言い2人は合計20メールを払い、部屋に戻った。

2人は歩き疲れたのか、それとも安心したのかそのままベッドで眠りについた。

夜になり、酒場が賑やかになったころ。

2人は下から聞こえてくる賑やかな声で目が覚めた。

お腹もすいていたので、下に降りると。

早速客が話しかけてきた。

酒場の客「おっ若い子が出てきた!新しい店員さんかい?」

マーチ「違うよ、ただの客だよ。まぁちょっとばかしあんたらと違って特別待遇だけどね」

酒場の客「何でだよ、なんかあったんか?」

マーチ「あの2人この村に来る前に大変なことにあったらしいからね」

酒場の客「何があったってんだよ、大したことじゃなかったら許さんぞ」

マーチ「ルカくん、アリアちゃん言っても良いかい?嫌なら言わないけど。」

ルカ「あまり言わない方が…」

アリア「大丈夫よ!私たちは!」

ルカ「アリアが良いなら僕も問題ないよ」

マーチ「そうかい?じゃあ話すよ」

酒場が少し静かになってから、マーチが説明をした。

ルカとアリアがマリノ村で、どんなことに遭い、どんなものを見たかを。

それを聞いた客達は皆、静かになった。

だが、静かになったのも束の間。

客達はルカとアリアを労り、称賛した。

こんなにも若いのに、そんな大変な目に遭ってなお、生きる意志があることを。

2人はそんな労いと称賛を受けて、緊張の糸が切れたのか、号泣した。

しばらく泣いたのち、2人が落ち着くと。

客達はルカ達に美味しい料理やジュースをたくさん奢ってくれた。

途中、客はルカ達にこの先どうしていくのかを問いた。

2人は先の事をあまり考えてはいなかったが、生きていくためには、稼ぐ必要があった。

だが、この村に居てもすぐに2人で生活できるほど稼ぐのは、不可能だった。

そのような話をして居ると、1人の男がこう言った。

この村よりも大きな街へ行ってはどうか。と

だが、一番近い街まででも、徒歩で3~4日かかる距離だった。

距離に頭を悩ませていると、男はこう続けた。

「私は商人をやっています。なので、私の荷馬車にあなた方を乗せて街まで行くことが出来ます。」と

2人にとってはすごくありがたいことだったが、その距離を輸送してもらうのなら、相当な金額のかかることだろう。

ルカがその事を聞くと、商人は2人で73メール払ってくれるのなら、送ってあげると言うのだ。

パン7つ分ほどの値段だ。

2人は相場が分からずとも、この値段は安いことだけは分かった。

2人がその馬車に乗せてほしいと言うと、明日の朝方7時に出発する。

と言うことだった。

その後も様々な客達と楽しく飲み食いしたのち、2人は部屋に戻って、また眠りについた。

翌朝、下の階に降りると、マーチが待っていた。

マーチ「おっ!起きたのかい」

ルカ・アリア「おはようございます」

マーチ「あぁおはよう。今日からまた旅に出るんだってね?」

アリア「はい。この村には昨日来たばかりですが、2人で生活するため、稼ぐために大きな街へ行きます。」

マーチ「そうかい、気を付けなよ。多少なりとも、食事や生活の足しになるように、この食料とお金持っていきな!」

ルカ「食べ物はともかく、お金はもらえませんよ!」

マーチ「良いんだよ!これ昨日のお客達からアリアちゃんのために~って渡されたんだから!」

アリア「そ、そうなんですか!?それじゃあお客さん達にお礼を伝えておいてください。ありがとうございます。と」

マーチ「分かった伝えとくよ。元気でね!2人とも!」

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