第24話

 さあさあ、待ちに待った三分クッキングの時間がやってまいりました。


 今回用意する食材はこちら!


 ・生きの良い勇者神鋭隊

 ・表面を丁寧に削り取った、葉付きワサビ

 

 ……どちらも、どのご家庭にもあるようなものですね〜。

 これなら、簡単に真似出来そうです!


 では、さっそく料理を始めましょう!


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「……ふう」


 俺はスッキリした気持ちで、勇者神鋭隊を拘束している小屋を出た。


 これであいつらも、自分達がやった事の罪の重さが分かっただろう。


 正直、これでもまだまだ足りない、オーク達と同じ目に遭わせてやりたいと言う気持ちはあるが、俺もそこまで鬼じゃない。


 俺達の引っ越しの準備が整ったら解放してやろう。


 それまでは、毎日三分クッキングだ。


「あの……彼らに一体何をしたのですか?」


 恐る恐る、といった雰囲気で、小屋の外に居たオルクスが話しかけて来た。


 恐らく、さっきから響いていた勇者神鋭隊の絶叫のせいだろう。


 ちょうど話したい事があったんだ。

 助かった。


「ケツにワサビ……まあ、軽い毒物みたいなものを突っ込みました」


 俺はありのままを伝えた。


「……そうですか」


 オルクスの目に怯えが見える。


 しっかりしてほしいな。

 こんなの、されたことを思えば全然手ぬるいぞ?


 向こうは殺す気で刃を振ってきた。

 こっちは痛めつける気でワサビを振るった。


 差は歴然だ。


「………オルクスさん」


「は、はい」


 俺は本題を切り出した。


「神観天抜武道大会って、ご存知ですか?」


 捕らえた神鋭隊に、どうすれば勇者達に会えるのかを聞いたところ、全員が口を揃えてその大会の名を挙げたのだ。


 神観天抜武道大会とは、何でも、神鋭隊を選ぶ為に勇者共が開催する武道大会らしい。


 そして、勇者共は全員、それを観戦しに来るんだとか。


 そう。

 全員が、だ。


 本来世界に散らばっている筈の勇者達が、全員観戦に来るのだ。


 凄まじいチャンスだ。

 時王の能力を利用すれば、一網打尽も狙えるだろう。


 ……とはいえ、会場の警備は万全らしい。


 薄汚い魔族の入り込む隙などない!


 と、神鋭隊の人が言っていたからな。


 そう。

 つまり、人間の俺の出番だ。


「ええ、知っていますよ」


「アレに出たいんですが……強くなる方法、知りませんか? ええっと……例えば、武術とか」


「武術、ですか……」


 オルクスは目を細め、何かを思い出すように遠くを見た。


「私の知り合いのオークに一人、使えた者が居た筈です。彼に連絡を取ってみましょう」


「ありがとうございます!」


 俺は深々と頭を下げた。

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全ステータス1から始まる魔王覇道!〜女神と勇者をぶっ飛ばす〜 角々三角形 @Rokkakusankakkei

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