2話

目が覚めると青く澄んでいる空が見える。


「……え?」


私は困惑していた。

なんせもう見ることの出来ないと思っていた地上を人が闊歩してる姿がそこにあったからだ。


自分の服を見ると学校の制服、手に持っていたはずの刀は何処にもなく、その代わりバッグを手にしていた。



「は?」

状況が読み込めず立ち止まっていると、

後ろから肩を叩かれた


振り向くと、かつての友人だった。

あの空に亀裂が入ったその日『俺』を助けて、魔物に喰われてしまった友人。


「よ!」

その懐かしい声で心臓がドクンと跳ねる。


「お前……本当に――――なのか?」


「え?なんて?」


「だから、―――なのか?」


「聞こえない!!」


ノイズが走る。

瞬きをした瞬間、場面が変わった。

赤黒く変色した空に亀裂から這い出る魔物。

ゴーンという音の鐘が鳴り響く

目の前にはグシャグシャと友人を貪り喰らう魔物。


「に……げろ……」


微かに聞こえる友人の声。


その様子に息がせり上る。



ゴーン……ゴーン……


緑色の滑らかな地面

ひんやりと冷たく、周りは暗闇に包まれていた


ゴーン……ゴーン……

これまでとは比べ物にならないほど大きな音で鳴り響いた


その理由はすぐに分かった


僕は空にいた巨大なの手のひらにいた。


暗闇の中から現れるソイツの顔。

グネグネと皮膚が動いて気味が悪かった


脳内に響く赤ちゃんの鳴き声

『おぎゃぁ!おぎゃあ!』


手を伸ばし顔に触れようとすると

ゴーン……ゴーン…という鐘の音が鳴り視界がフェードアウトする前の景色に戻っていた。



なんだったのだろうか。

私の記憶を繋ぎ合わせたかのような世界。


巨大な"ソイツ"が関係してるのか……


謎は深まるばかり。

空には"ソイツ"が雲の上に鎮座している。


魔物は、居なくなっておりその代わり血が飛び散っていた。




後ろから声をかけられる。


「大丈夫か?」


振り返ると、他の天明の士が居た。

自分も天明の士だからわかる。


「あぁ」

と一言だけ返し、地下都市タイタンに戻ろうとすると、衝撃の一言を告げられる。


「タイタンは滅んだぞ」


「は?」


何故?ものの数十分で崩壊するのか?

時間を確認しても、12分しか経っていない。



理解できない俺に彼は告げた


「3年前、タイタンは天明の士に見捨てられ魔物に襲われ滅んだ」


「……は?」


3年前?僕は、

3年間も気絶していたのか?

そして、タイタンに居た天明の士は私1人……



「あぁ……」


ザッという音と共に巨大な図体の魔物が現れた。

おそらく14メートル程の大きさ。


俺の知ってる全ての魔物はこんなにも大きくなかった。

そして、大きく変わっていたのは

瞳だった。

目が縦に着いておりひとつだけだった。


兎にも角にもこいつを倒さないといけなさそうだ。







隣にいる彼は

槍を構え戦闘態勢を取り


僕は刀を抜き水平に構える


そして気づいたら彼は潰されていた。



赤黒い液体がヘルメットにかかる

横に薙ぎ払おうとする魔物を高く跳び避ける。


魔物は片方の腕を使って俺の頭を握った


―――――――――――――――――

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る