第25話 付近は一気に寒暖化
☆☆☆
「やあ、咲月。どういう状況かなんて、見ればわかるんじゃない?」
「わかる。けど、わからない。いったいどうしてあなた達がいちゃいちゃしてるわけ?」
「いっ!?いやいや、そんn」
「君は黙ってろ」
「...うっす」
咲月先輩の目が怖い。なんかわからないけど、ガチギレしてるんだけどこの人。
「僕と渉くんが何してようが、君には関係ないだろう?」
「...実。あなたはこれまで一歩身を引いた行動をしてたはず。それが今になってこれだ。どういう風の吹き回し?」
「いやあ、咲月の暴走に振り回されてる渉くんが見てらんなくなってね。」
「暴走なんかした覚えはない。これは私の脳が導き出した、最善の方法。」
「最善だって?はっ、笑えるね。咲月、君のその最善の方法とやらで、渉くんがどんな気持ちになったか、考えたことあるかい?今のところ、君の印象は悪い方向に進んでいるよ?」
「そんなのは重々承知。最初は戸惑うかもしれないけど、だんだんと癖になって、最終的には私抜きじゃいられなくなる...そういう方法だもの。今は頭の整理が追い付いていないだけ。」
「だってさ。渉くんどう思う?」
「ど、どう思うといわれましても...」
いきなり話を振られて、戸惑ってしまう。今までにないくらい2人がめちゃギスギスしてるし、冷や汗が出るぜ...。
「今の咲月の印象を言ってみ?」
「ええと...」
ちらりと咲月先輩を見る。咲月先輩は優しく微笑み...いや、なんか舌なめずりしてない?この人。
「いいよ、率直に言ってくれて。」
咲月先輩がそういう。まあ、そういうことなら。
「...言葉を選ばずいうならですね」
「うんうん」
「えっち」
「...うん?」
「欲求不満な人」
「...えっと」
「誰にでもこういうことして、手あたり次第取って食ってんだろうなって」
「ちょっと待って!?」
咲月先輩があわあわしている。珍しい光景だ。
「何すか?率直に言っていいっていったのは先輩ですよね?」
「言ったけど...言ったけどお!」
ぐるぐるお目目であわあわしてる。おかわいいこと。
「ね?やっぱこうなるって言ったじゃん。渉くん、ああ見えて結構繊細だよって言ったのにさ、『色気漂う先輩作戦で行く』って言いだしたのは君だよ?」
「うぐぐぐ...!」
先輩は頭を抱えたのちに、俺の袖を引っ張て、俺のことをしゃがませた。
「一回しか言わないからよく聞きなよ!?いい?あれは君の気を引こうとしただけであって、ほかの人には一切してないの!君に対してだけだから!!」
「ほんとですか?なんかすごく慣れてませんでした?」
「それは一人で練習してたからで...!」
「ふーん...へー...」
「ちゃんと聞いてないね!?もー!!」
怒りながらポコポコと叩いてくる咲月先輩。こっちのほうがかわいくていいな~、なんて思いながら、終始叩かれ続ける俺なのだった。
☆☆☆
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます