第3話 弱みに付け込む

出張で、工場のある中国湖南省株州に行った。水曜日に入り、毎日の辛い中華料理。華天ホテルの向いに、ケンタッキーフライドチキンがOPENした。外から見ると毎日長蛇の列だが、フライトまで時間があるので、食べてみようと列に並んだ。あと2人で、買えるところまで来た時、横を見ると、小学生高学年と思われる少女が、弟を背負って私をじっと見ている。ここまで来るのに30分以上待ったが、可哀想に思って、「先にどうぞ」と列の前に入れた。そうしたら、知り合いと見られる人が次々と後ろからハグをし、私は後ろに追いやられた。結局、買えずにホテルに帰り、中華料理を食べ、帰路に付いた。


重慶に戻り、先輩に話すと、「俺は経験したことが無い」と笑われた。赴任が短いため、お互い言葉で苦労していたが、先輩は溶け込んでいる。日曜日に先輩と重慶のケンタッキーに行った。「俺買って来てやるよ」殺到するカウンター前の人だかりを見て、先輩は列に並ばず、1番前に行き、メニューを指さし「Aセット 2 COKE 2 プリーズ」どっから見ても外国人。最初は、後ろに回れと言われるが、中国語が解らない振りをして、プリーズを繰り返す。押しに負けたのか、購入が許され、先輩が持って来てくれた。


<私の仮説

日本では、人の弱みに付け込まない事を美化する。外国人は、人の弱みに付け込んででも、勝ち取った事を美化する。どんなに割り込んでも、「あいつは頭がいい」で終わってしまう。アジア3か国に駐在したが、薬局で、誰も盗まないと言わんばかりの入り口の商品の山はない。全て盗まれない様に管理されている。外国人から見れば、日本の薬局は、「自由に持って行って良いの?」に見えているだろう。


WBCで、日本は優勝したが、外国チームは日本チームの弱みと判断した「Mr村上」をマークしたように見えた。日本人は「正正堂堂」、外国人は「勝ち」に拘る。

ロスオリンピックで、柔道無差別級の山下に、弱みを攻めなかったエジプトのラシュワン氏。外国ではどう評価されたのだろうか?外国を相手にするには「性善説」「性悪説」を見直した方が良さそうです。相手の弱みを見つけたら、ずるをしてでも「勝ち」に拘る行動には、外国人は寛容です。>

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