とある事件現場での一幕
雨の降る中、俺は部下と共に河川敷に来ていた。ぬかるんだ足元、近くには雨により流れがいつもより速くなっている川。自殺しに来たわけじゃない。黄色いテープの近くに姿勢を崩さず立っている警察官に声をかける。
「お疲れ様です〜、本庁特捜5課です〜」
「はっ!お疲れ様です!こちらへどうぞ!」
係官に規制線のテープを潜りやすく上にあげて貰い中に入る。現場では既に鑑識や他の捜査員達が集まっていた。
「…?ここは部外者が来るとこじゃねぇぞ、帰れ若造」
強面の捜査員のひとりがとっかかってきたので手帳を見せる
「失礼しました〜、わたくしこういう者でして〜」
「…チッ、本店が何の用だ」
「警察官なので〜仕事をしに〜」
奥の方にビニールシートが被せられている、あれが今回の被害者なのだろう。状況から察するに既にもうこの世には…
強面の刑事がさらにつっかかって来そうなので押しのけるように被害者の元へ向かい、近くの鑑識に声をかける
「見ても?」
「えぇ、どうぞ」
ビニールシートを広げ、被害者の状態を確認する。
「被害者の身分はまだわかっていません、財布はありましたが身分証が入って居ませんでした。」
酷い痛みと共に意識を失ったのだろう、人間の顔付きとは思えない程醜くなったその表情は事件の凄惨さを写し出す。顔を裏返し首元を見る。
「被害者の情報は分からないが電脳化をしている。だが、この接続タイプに対応しているやつがあいにくウチには居なくてな。こんな端子見たことない」
電脳化をすると、記憶や情報にアクセスするための接続端子が首筋に設置される。逆に言えば、ここに繋げることが出来れば解決の糸口が見えるのだ。
「…至急、軍に連絡して下さい。」
「なんだと?」
「この接続端子は民間用の丸型ジャックではなくType-〇のメス、そしてxxコネクタです。xxタイプは軍用の電脳デバイスに使用される接続端子、xxコネは恐らく諜報部のとこでしょう。」
「なんでそんなのがわかる…?」
「…なんでって」
「仕事だからですよ、警察官なので」
「チッ…」
「原本君、よろしく〜」
「かしこまりました!」
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