僕は僕なりに頑張ります。
@oesn
吸血鬼って何?
現状、二人暮らしである。
そのため誰にも見られる心配はない。
少女の姿をし、重症を負った吸血鬼が匿ってくれと言って一ヶ月が経とうとしていた。
「あの〜すいません。吸血鬼さん…いつまでこちらに滞在なさのでしょうか?。」
僕は問う。
ぎこちなく初対面に話しかけるように。
僕は三階建てアパートの三階に住んでおり吸血鬼はリビングで寝転がっていた。
「ええじゃろう家に入れて良しとしたのは汝ではないか、それにいきなり何話すかと思えばそんなことかい吾に気安く話しかけるな人間ごときが」
吸血鬼は言った。人間を侮辱して言った。その侮辱は話しかけるなと思わせられた。
その証拠に吸血鬼は気持ちよさそうに最近洗濯して変えたふかふかのカーペット上で寝転がっているからである。
この吸血鬼は名前がなく僕は吸血鬼と呼んでいる。違う名前はあるのだろうけど言わないだけだろう。
そろそろ冬休みが終わりに近づいている。僕は学校が始まると忙しくなる。それは学生としてしょうがないことでごく普通のことである。
そのため吸血鬼には早く出て行ってほしい。違うとこで匿ってもらいたい。
僕はそんなことを思った。
思っただけである。
それから15時になった。
「汝よ菓子を用意せい!」吸血鬼がこの家に来てから毎日がこれだ。世間の子供たちがお菓子の時間とかで呼ばれているこの時間帯。
僕は毎日この時間帯がとてもめんどくさいと実感している。更には若干お値段高めのものじゃないと気に入らないと言って食べないのである。まるでペットのような感じだ。ペットなんか飼ったことなどないが。
僕はクッキーやマカロン、シュークリーム等のお菓子を皿の上に盛り付けてテーブルに置いた。
「持ってきたぞ。」
「汝よ!よくやった。」
吸血鬼は食べながら言った。
「にしても汝、吸血鬼という呼び方を辞めよ。癪に障る。」
吸血鬼は不満顔をでわなくシュークリームの落ちそうなクリームをペロッと舐めて幸せそうな顔をして言った。
「そんなことを言ってもな…」
血を吸う鬼で吸血鬼。
吸血して眷属をつくる。太陽には弱く、何故かニンニクを拒む。宗教的なものが嫌いなのか十字と太陽も拒む謎が多い吸血鬼。
「お前ら吸血鬼に名前なんかあるのか…そもそも吸血鬼って何?」
今度はマカロンを一つ一つ噛み締めている。
美味しそう。
「それじゃ、汝よ人間について語れるか?どうやって人間が生まれ育ち今もこうして人間という生き物が長きに亘って生き続けているのか語ってみよ。」
共感。
たしかに俺らもどういう生き物かわからない。世界の学者はそういうこと、人間ついて研究しているだろが実際のところ誰も森羅万象は確信をもって知っている者はいないだろう。
結論。
「ごめん…語れない…。」
「謝る必要はない。語れないことは我にとっては普通だと思っている。」
それから僕の質問に対して言った。
「だから、汝らが吸血鬼に対してどう思っているかは知らぬが、例えばニンニクが嫌いとか言われてるのは古代エジプトの時代で悪霊より人を守るため、平安をもたらすための薬用植物や魔除けなど色々言われているが結局その時代で生み出された書物での知識でしかない。」
この吸血鬼は、ニンニク食べれるのかと疑問に思いつつ共感をした。
そして話を続けた。
「知識は本来、経験によって身に付くものだがしかし書物といったその人が経験したことや目にしたものを書物にし、吾らが読んでも知識にはならない。もし、さっきの内容を知識として身に付けたらそれはもう生きるのが一段階難しくなると吾は思う。何故なら経験から生物は知識を得て生きることが本来のあるべき姿だと吾の経験上からそう思う。」
この話を聞いて尚更、吸血鬼に対して言葉の凄さと警戒心が増した気がした。それは吸血鬼が得た経験を語っていたからであると思ったからだ。
吸血鬼は話が終えましたよ。みたいな雰囲気を出したがもう一つ答えてない質問があった。
「で。名前は何に答えてくれないか。」
「何故答えなければならぬ。」
吸血鬼は不満そうな顔をした。
「お前が言ったじゃねぇか!」
吸血鬼は白を切っている。
「まぁお前が言わない理由がどうであれもう時期出てもらうからな」
諦めた。
少し時間が経ち17時になり身支度を整えシャベルを手にし除雪を始めた。
このアパートはエレベーターがなく下から螺旋階段を上って2階(踊り場)、少し歩き右手の階段を上ると3階になっており、また今住んでいる部屋の玄関前を通ると階段があり、そこを上がると屋上と随分変わったアパートになっている。さらにはお隣に部屋など無く3階に一部屋、下に一部屋となっている。
僕は今、玄関前から下に行くための階段にどっさりと積もっている雪を除雪している。
玄関から始め一段一段丁寧に除雪しながら下に進んでいる。
毎年のことだが疲れるなー。
「あとココも除雪しとくか」
そう言って2階に住んでいる竹嶋さんの車の前にある雪を除雪することにした。
ここの駐車場も独特だ。
1台しか駐車ができないおまけに運転席しか入れないぐらいの狭さである。
後は戻るだけか…。
「ただいま」
「汝よ遅いぞ何時だと思っている」
帰ってきて早々子供のように玄関に走って来た。
「夕食の時間だぞ。」
僕は雪を玄関に入る前に払い落として玄関に入りそのまま靴を脱ぎ時計を見た。
「ホントだゴメン…」
只今の時刻18時。結構やったんだな。
「汝。毎日雪掻きとやらに時間使ってるではないか」
「仕方がないだろう。ここは新潟県長岡市だぞ豪雪地帯とまでは言わないが案外雪が多い地域だから許してくれ。」
「知らぬ。早う夕食の準備をしてくれ。」
今日は飯を作る気力も無いし冷蔵庫見ても食材が無い。どうしよう。
「もうしわけないg」
この吸血鬼。話を遮るなよ。
「汝よ…まさか準備できないとか言わないよな。言ったら死が待っていることを覚えとけ。
」
「最後まで話を聞けよ。今日は出前だ。」
「出前とはなんだ。」
僕は冷蔵庫に貼ってあったメニュー表を手にして寝そべっている吸血鬼に差し出してた。
「その中にある料理を頼んで店側から料理をココまで運んでくれるシステムのことだ」
僕は概略的に説明をした。
どういうことか理解した吸血鬼は何を食べたいかを楽しそうに子供のように選んでいる。
「何食べたいか決まったか」
「今、考えておるだろう!」
「一品だけだからな」
主張して言った。
「何を食べていいか分からぬ!」
本当に困っている顔をしている吸血鬼。
一品だけとは言わずメニューに記載されている品を全部食べたそうにしているが駄目だ。
それに、自分の分は頼まない。
勿論、金がないからである。
もう少ししたら知り合いが料理を持ってきてくれるから僕はそれを食べることにした。
「決まったか」
僕が問うと悩んだ末に言う。
「よ…よぅふ……洋風カツで…。」
「本当に良いだな」
最終確認である。
「少し待ってくれ。」
僕はため息をし、リビングのストーブの温度を一度下げ横になることにした。
すると逆に吸血鬼が立ち上がり僕のところにより決心した顔でメニューを横になっている僕の目の前に突き出しもう一方の手でメニュー表のある品に指をさして力強くハッキリ言った。
「麻婆ラーメンが良いのじゃ」
そう言い。僕は言われた通りに出前を頼んだ。
「まだかのう…」
鼻で笑った。そんなすぐ来るわけないだろう。
「待ってろ。もうそろっとで着くから」
このアパートにはインターホンがない。
なので、ノック音が聞こえる。
ドンドンドンと強いノック音。お金を持ってドタバタドタバタと走っている吸血鬼の跡をついて玄関に向かった。
「来たか。待ちくたびれたではないか」
ガチャ。扉を開けた吸血鬼。
「わざわざこんな高いところまでありがとうございまs…」僕がそう言い玄関前についた。
一瞬。配達員じゃねえ…
ぶっ飛ばされた。
「汝!」
僕は僕なりに頑張ります。 @oesn
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