エドと僕。ートレンドは友達ー
はるはるな
第1話 出会い
25歳の健太は、薄暗い自室で一冊の本に熱中していた。その本のタイトルは『マーケットの魔術師』。世界のトップトレーダーたちへのインタビュー集であり、彼らの成功哲学や戦略が語られている。中でも健太の心を掴んだのは、エド・スィコータという伝説的トレーダーの章だった。
エド・スィコータ――1970年代にわずか5000ドルの口座を運用開始し、十数年で数百万ドル規模にまで増やしたという男だ。機械的なトレンドフォロー戦略と鉄の規律で、相場の波に乗り続けた彼の物語は、健太にとってまるで夢物語のように感じられた。それ以上に彼の言葉が胸に残った。「勝っても負けても、皆自分の欲しいものを相場から手に入れる」――成功も失敗も自らの心が招くのだという深い示唆に、健太は強い衝撃を受けた。
大学卒業後に入社した会社で平凡な日々を送っていた健太は、いつしか仕事への情熱を失いつつあった。単調な業務、先の見えた昇進コース。そんな折に出会った『マーケットの魔術師』は、彼の中に眠っていた闘志を呼び覚ました。自分もトレーダーとして生きてみたい――市場で戦い、結果を出し、自分の力で未来を切り拓きたい。エド・スィコータのように、相場を相手に自分の限界へ挑戦してみたい。
本を閉じた健太の心は高揚していた。時計を見ると深夜を回っている。明日も仕事があるにもかかわらず、彼の頭は相場のことで一杯だった。ノートを取り出し、感銘を受けたエドの言葉を書き写す。「トレンドは友達」――トレンドフォローの極意とも言えるその簡潔なフレーズが、暗い部屋の中で静かに光を放っているように思えた。健太はペンを置き、大きく息を吸い込むと、心に決めた。この出会いを無駄にしない。自分もマーケットという名の戦場に飛び込み、本気で挑んでみようと。
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