冷酷王太子に溺愛されました
ミナ
第1話
目が覚めた瞬間、私は自分の異変に気づいた。
ふわふわのシーツ、大理石の床、繊細な刺繍のカーテン。豪華すぎる部屋を見渡し、私は思わず目をこすった。
「え、どこ、ここ……?」
「お嬢様、もうお目覚めになりましたか?」
扉が開き、メイド服の少女が入ってくる。彼女はにこりと笑って、私の顔をのぞき込んだ。
「今日は王太子殿下との婚約の儀でございますわ」
――はい? 王太子? 婚約??
私は混乱していた。だって、昨日まで私は普通の女子高生だった。階段から落ちた記憶はあるけど、目が覚めたらいきなり異世界ってどういうこと。
「ここは……どこ?」
「何をおっしゃいますの。エレノア様はアーデルハイト公爵家のご令嬢。王太子殿下の婚約者におなりになるのです」
どうやら私は「エレノア・フォン・アーデルハイト」という貴族令嬢に転生してしまったらしい。そして、今日がその王太子との婚約の儀の日だなんて。
現実感ゼロなのに、否応なく時間は進んでいく。
***
そして――婚約の儀。
「エレノア・フォン・アーデルハイトです。王太子殿下、お初にお目にかかります」
できるだけ落ち着いて礼をすると、目の前の王太子が私をじっと見つめていた。
――うわ、なんかすごい威圧感……。
王太子、レオンハルト・フォン・ルクセンベルク。銀髪に鋭い金色の瞳を持つ、完璧に整った顔立ち。だけど、その雰囲気は冷たくて近寄りがたい。
「……お前が、俺の婚約者か」
低く響く声に、私は思わず背筋を伸ばした。
「は、はい」
「……そうか」
それだけ言って、彼は視線を逸らした。まるで、私に興味がないみたいに。
でも、私の胸はなぜか少しだけ高鳴っていた。
この冷たい王太子との恋が、ここから始まるなんて――このときの私は、まだ知らなかった。
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