第2話 レベルダウン

『そ、そんな、、茜…護…なんでこんな…

お、俺が殺したのか2人を!?』


2人の姿は残酷で見るに耐えなかった

というより見れなかった罪悪感に押しつぶされて

おかしくなってしまいそうだ


(ゴアアアア!!!)(ぎゃーーー!!!)

(グルルルルル)


血の匂いに惹かれてきたのかモンスターが

数え切れないほど迫ってくるのをすぐに側に感じる


『に、逃げなければ…ふ、2人とも、すまねぇっ』


俺は2人の亡骸を埋めてやることもできない

その場からすぐに立ち去ろとするがすでに

モンスター達に囲まれていた


『くっ…倒さないと逃げられないか』


モンスター達は蓮めがけて一斉に襲いかかる


『ライオットボルト!!!!』


蓮がそう唱えると

バチバチと広範囲に電撃が広がりモンスターを

一網打尽にしていく


『ここはダンジョンの深層…かなりの時間1人で

戦わないといけねぇのか』


一度深層に入るとダンジョンの1時間が現実世界での6時間ほどとなりもちろん体にも倍以上の負担が

かかる


レベル100以下の攻略隊は深層に30分もいられないくらい負荷の強い場所


でもだからこそレベルの経験値はおいしい

そんな意味合いもあり深層は攻略隊のレベル上げにも使われるような所だった


蓮達のレベルでようやく走破できるそんな場所での

1人での脱出はかなりリスキーであり

並大抵ではない。


『グッ!またモンスター!!』

目の前にはまた何十体という数のモンスターが

立ちはだかってきた


『どけぇ!!ホーリーアロー!!』

とにかく一度に沢山倒せる魔法を駆使しながら

一刻も早く抜けなければ俺の体力が持たない


(レベルがダウンしました、987)


『ま、待ってくれよ!!なんだよそれ!!

普通は上がるのになんで!?』


モンスターを倒せば倒すほど経験値がマイナスに

なっていく、しかも深層だ、大きい経験値を貰えば貰うほどその分レベルが下がっていく


『な、なるべく敵と戦わないように隠密スキルを…』


モンスターとの戦闘は避けつつ必要最低限の

戦闘だけをこなし蓮は深層の出口へとたどり着く


『やっと…やっと着いた、、一体どれだけの時間が立ったんだ、レベルは……890…畜生なんだってんだよ!せっかく最強になったのに、これじゃ!!』



(グオオオオオオオッ!!!)


『ッ!?!?この咆哮はまさか、キング・ケルベロス!?なんだってまだ!?』



蓮のすぐ真正面に、そこには2体のキング・ケルベロス達が待ち構えているのだった。


『2体!?そんな!!!

ふざけんじゃねぇ!!ホーリーアロー!!』

その瞬間バチッと手が焼けるような感覚がした


(レベルが足りないためスキルホーリーアロー使用することが出来ません)


『なっ!!!!!スキルまで使えなくなって……』


キング・ケルベロスは蓮の一瞬の隙をついて

上から叩きつける。


『ガハッァ……』


痛い、すごく痛い体が痺れる

ここに来るまでに体力をかなり消耗してしまった


茜がいればこんな事にはならないのに

護がいれば一網打尽にできたのに

俺1人で、レベルも下がってこのままじゃ、、


『俺は!!!死にたくないんだ!!!

茜と護に弔いだってしなきゃならないんだ!!!』


蓮が声を荒らげるとキング・ケルベロス達は

もがき出すように苦しんだ


『な、なんだ…?でも今なら!!』


蓮はキング・ケルベロスの心臓めがけて

剣を突き刺した その時俺の頭に声が流れ込んできた


(蓮?私ね?蓮が沢山助けてくれたから私

凄く嬉しかったんだ、、あのね蓮?

お願いだからあなたは自分のしたこと絶対に

恨まないでね?きっと私の魂は蓮と共にあるから

ずっと…隣で見守ってるから…だから

生きて、、蓮と冒険出来て楽しかった、蓮…』


『な、なんだよ、これ茜…なんだよ!!これぇ!!』


気付いた時には大粒の涙が止まらなくなっていた

苦しい、心が苦しい、体全身が締め付けられるような苦しみが俺の中でいっぱいになった。


『も、もう一体!!!』


溢れる涙を止めることは出来ない

でもあのケルベロスも殺すしかない


『あぁぁぁあっ!!!スキル疾風!

スキル絶剣!!!』


空間に現れた無数の刃のような風にのって

複数の剣がケルベロスを切り刻んだ

その時、蓮の頭にまた声が流れ込む


(蓮、俺はお前に興味のないふりをしてたが

結構好きだったぜ、こうやってまた最後に声を

かけられるなんて思ってもみなかったが

悪くねぇ、蓮、茜と一緒に逝く

お前はくんなよな)



『う、ううううっ、うわぁぁぁぁぁぁーーーー』


俺には2人の声が、ひどく辛かった

地面を何回も殴り、手は血まみれになって

顔を何度も地面に擦りつけた

涙も止まらない、どす黒い罪悪感が押し寄せる

もう俺は自分を許せなくなっていた。


(深層ボスを3体以上撃破に成功しました

経験値にボーナスが加算されます)


(レベルが50にダウンしました)


『は、ははっ』


ドサッ



─蓮は力尽きその場で倒れ込んでしまう─





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