第1章 プロローグ 第2話 大天使ミカエル
「あんっ、あん、あん…嗚呼、兄様ぁ~」
「くっ…イクっ、イクぞ。イク、イク、イク…うっ!」
「
「これからどうするの?」
「…もう一度だけ直言してみるよ」
「どうしてそこまで…」
言いかけて、私は言葉を飲み込んだ。どうしてなのか理由は分かっている。
アナトは
「大変よ、ミカエル!」
同僚であり親友でもあるガブリエルが、部屋に飛び込んで来るなり叫んだ。
「一体、どうしたの?そんなに慌てて」
だが私はガブリエルからの報せを聞くと青ざめて、靴を
人混みを分けて押し入って広場に到着すると、まさに刑が執行される瞬間であったのだ。
「嫌あぁぁ、ダメよ!兄様ぁぁぁ!!」
私の絶叫は
「すまない、ミカエル…。
その瞬間、兄様の足元の
それから私は、
「兄の為に何でもすると?」
私は何度も
ある日、不倫が彼女にバレてしまい、私は慌てて服を着てその場から逃げ出した。
「よくも叔母の私を裏切れたわね?」
嫉妬と憎悪に満ちた
「お前には、愛する者と殺し合う罰を与えてやろう」
自分が自分で無くなる感覚の中、思い出していた。
「
ガブリエルにそう聞かされても私は眉一つ動じる事なく、
推測通り、私は
「
かつての上司であるルシフェルを、神兵達が
「もう遅い。今さら引き返す事など出来ぬ。むざむざと、可愛い
「
「やって見なくては分かるまい。今の俺は、大天使長ルシフェルでは無い。大魔王ルシファーだ!」
ルシフェルは神兵達の目の前で
「おおぉ…悪魔、悪魔ぞ!
大魔王ルシファーとなったルシフェルの強さは、大天使長時代を
かつて天界に
神兵達は蹴散らされ、ルシファーの軍勢は主の下へと近付いた。
「ここから先へは、1歩も通さん!」
そう言って立ち
「ミカエル、そこを
「ふん、悪魔風情が聞いた風な事を抜かすな。進めるものなら進んで見ろ!」
ミカエルは恐れる事なく、一直線にルシファー目掛けて突撃した。
「ミカエルに続け!」
ガブリエルやラファエル、ウリエルらが兵を率いて突撃し、両軍入り乱れての混戦となった。
私が悪魔の総大将に斬りかかったが、何故か相手は防戦一方で、反撃して来なかった。
「止めろ、止めてくれミカエル!」
悪魔の王は何度も叫んでいたが、私は悪魔の言葉に耳を傾ける事は無かった。
(惑わされるな。殺せ!悪魔の王を殺せ!)
頭の中に響く声が、私を
鋭い突きを繰り出すも受け流され、斬れば弾かれ、
「くっ、待て!」
こちらの隙を突いて悪魔の王に突破され、追い掛け様としたが悪魔の手下達に邪魔をされた。
しかし直ぐに悪魔の王は
(勝ったのか…)
勝利して嬉しいはずなのに、涙が頬を
主がルシファーを魔界に堕とした隙を突いて、主に攻撃をした者がいた。その者はルシファーと共に闇の軍勢を率い、ルシファーに対して対等以上に接する者であった。
「バァルよ、お前もか!?」
その者の名はバァル・ゼブルと言い、
そして、ルシファーと同じくアナトの為に、
自分の血を引くバァルの力が覚醒する事を恐れた
「兄様ぁぁぁ!」
絶叫しながら起き上がり、ボンヤリとした頭が少しずつハッキリして来ると、またあの夢かと思った。
物心が付いた頃から、繰り返し見る夢。夢と言うには余りにも生々し過ぎて、とても夢とは思えなかった。
そして、それが夢では無かった事を思い出す事になったのは、私が15歳の誕生日を迎えてからだ。
「ミカエル様」
それが自分に対して、呼び掛けられた言葉だと言う事を理解するには時間がかかった。何故なら、声が発されたのは有り得ない方向だったからだ。
登校中に、首を斜め上に傾けて目線を上げて空を見ると、そこには羽の生えた人間が宙に浮かんでいた。
「天使!?」
宗教関係の書物や、歴史の教科書や絵画の授業くらいでしか見た事が無い天使が目の前にいる。まるで夢が幻を見ている様で、現実だと思えなかった。
「ああ、私はまだ夢の中にいるのだ」
そう口に出したものの、ちゃんと朝起きて顔を洗い、朝食を食べて歯を磨いて着替えたはずだ。あれが夢だったのか?否。現実だ。
「あなたは、大天使長ミカエルの転生したお姿です。記憶と
「私がミカエルの生まれ変わりだって言うの?」
目の前にいる天使が両手を広げると、私は光に包まれた。穏やかで温かい光。目を閉じると、膨大な量の記憶の波が押し寄せて来た。
「はぁ、はぁ、はぁ…。思い出した…全て…」
私は悪魔の王が人間に転生したと聞いて、この手で殺す為に同じく転生したのだ。魔界もそうだが、天界も
しかし強力な結界が
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