7人の転生者
奈津輝としか
第1章 プロローグ 第1話 大魔王ルシファー
しかし天界を追放され魔界へ堕とされた大天使長ルシフェルは、大魔王ルシファーとなって唯一神である
理由は諸説あるが、既に天界を追放されていた
神の怒りに触れた人類を殲滅するべく、主である神の意志を忠実に実行する天使達が、軍勢を率いて地上に攻め込んで来たのだ。
天使は決して人類の味方などでは無い。彼らは『絶対なる正義(神の意思)』を唱え、完全なる正義とは成り得ない不完全な人類の存在を認めてはいない。
主(神)が、1人娘であるアナトの遊び相手として、
そんな所へ、人類抹殺の
ルシフェルとミカエルは双子の兄妹であったが深く愛し合い、結婚の約束もして肉体関係にある恋人同士であった。
神話に
ギリシャ神話の全能の神ゼウスも、兄ハーデスに嫁いだ娘を抱く為に、兄に化けてまで何度も娘を抱いて妊娠させた話もあるくらいだ。
神々が禁止していたのは、同性愛だけである。何故なら、同性愛では子孫が残せないからだ。同性愛は、何も生まない快楽の為だけの性行為であると決めつけて、禁止していたのである。
それに反して近親相姦は、子孫が残せるから
ルシフェルは、愛しい妹と全力で戦う事が出来ずに苦戦を強いられた。ミカエルは
双子であるルシフェルとミカエルの力は拮抗しており、手加減するルシフェルが
なんとか妹の追撃を振り切り、
「愚かな悪魔め、滅ぶが良い!」
こうしてルシフェルは魔界へ堕ち、大魔王ルシファーとしてその地に君臨し、神々への復讐を誓ったのだ。
ルシフェルは、深い闇の底へ幽閉された。
「…おのれ」
「おのれ卑怯者!必ず復讐してやる!」
叫びながら目を覚ました。まだ薄暗い部屋を見回し、いつもと変わらない日常に安堵しつつ、再び襲って来た眠気に身を委ねて枕に頭を落とした。
「またあの夢か…」
繰り返し見る同じ夢。それは恐らく、前世の自分が体験した出来事だろうと、考える様になったのはつい最近の事だ。
生まれついてから特に、他人と違う所がある訳では無かった。それが見える様になるまでは。
最初からそれが見えていた訳では無い。初めは声が聴こえる程度であった。やがてそれはボンヤリと影が浮かび、10歳になる頃には形を成した。
明らかに人とは異なる異形の姿の彼らに対して恐怖の色を見せなかったのは、彼らが敵対心を見せるどころか自分に対して従順で敬う態度を見せていたからだ。
本能的に、彼らが敵では無いと認識出来た。いや、彼らを見て、何処か懐かしささえ感じていた。言葉を話す事が無い彼らの声が聴こえたのは、15歳の誕生日だった。
耳で聴こえた訳では無い。むしろ直接、脳に響いて来る様な声だった。
「陛下…ルシ…ァー…陛下、ルシファー…陛下」
「ルシファー?」
全て納得した。毎日うなされる様に見る夢の正体が、胸のつかえが取れる気がした。
「嗚呼、この俺はルシファーの転生した姿なのだ」
その瞬間に前世の記憶が
人間では決して真似の出来ない宙に浮き、飛ぶ事が出来た。両親が寝ると、深夜に窓を開けて闇夜の空を闊歩し、鳥よりも速く飛ぶ事も出来る様になった。
「俺が転生したのは
記憶と力の大部分を失っていたのは、神が
「いや、人間に転生する事によって、魔界を抜けて地上に出られたのだ」
これからは、恐らく何処かにある『
「アナトか…」
自分が本当にルシファーの生まれ変わりであるなら、アナトの為に
「責任を取って、仲間になってもらうぞ」
「世界の国々を、一国ずつ地道に探すしかないのか?」
記憶は戻ったが、人間に転生してからの生活と記憶もあり、自分を生んで育ててくれた両親にも感謝をしている。だから大魔王としての記憶が戻っても、すぐに家を離れる気にはならなかった。
『
黒猫や
「空から得られ無ければ、地面(黒猫)から得るまで」
そして数日後、
「面影がある…アナトに違いない」
それにしても、何と言う美少女なのだろうか。TVで彼女の姿を見ていたと言うのに、何故今まで気が付かなかったのだろうか。感知を鈍くさせる様な、彼女自身の
彼女の名前は
「アイドルか…。近付くのも容易では無さそうだな…」
だがそれでも必ず会いに行く。
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