せせらぎ 🍓 

上月くるを

せせらぎ 🍓



マンションを出て来る猫や夏の明

アカシアの花発つ鳥のおほぞらへ


花あやめ水きよければ濃紫

表示せる発掘のあと猩々草


一山の雨になりたる若葉山

緑陰にふるき旅館の弁柄色


里帰りの母のうなじやすぐりの実

せせらぎのそばに木苺熟れてをり


にはとりのおばちゃん宅の鉄線花

九年母の花ひたすらに咲きにけり


山滴る窓にミッキーマウスゐる

薫風やトトロのメイの声すなり


ハンカチや手にある心たなごころ

茉莉花やフルフェイスの目弓型に


アカシアの花の電車の窓過ぎる

老いてなほ愛らしきひと九輪草


米高しこめ安しとぞ閑古鳥

木の枝を払ふや株の乱高下


白牡丹はづれかけたる薄暮かな

長きもの仕上げし夜や明け易し




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

せせらぎ 🍓  上月くるを @kurutan

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ