第3話 「無」
飽きたる
全ての背景に
灰色染まりし
地上の楽
水も沁みいぬ
土壌の乾き
ひび割れ果てて
無味無音
うちたえて忘れぞ
情動かざり
重量抜けしの
宙なる無へ
言ふ甲斐無しや
なにごとにかあらむの
無言で
いでたつ
ただあるだけの
すべて溶けたる
夜の方舟
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