第18話

警察が動いた。

関わりのある教師は、全て連れて行かれた。


ただ、宮島はその場に残された。


「小山先生、僕のことも警察に話してくれれば良かったのに」


悲しみを少し感じる声であった。

裕也は答えた。


「彼女の家庭が芳しくないことは、実際にこの目で見ましたからね。骨のことが見つかれば、きっと骨は母親の元へ行く。あの家に骨壺では、どういう扱いになるか。まあ、良い扱いにはならないでしょう」


宮島は黙っている。裕也は続けた。


「まだ楽しい思い出もある学校の方が幸福なのではないか。そう思ったんです」


「今や、両方に辛い思い出を持つことになったがな」


宮島は卑屈になっている。

裕也は本心を言った。


「いえ、気遣いは伝わっていると思いますよ。それに生物室は宮島先生のテリトリー、常駐しているじゃないですか。あそこでは、流石に行為はなかったはずです。彼女を貶めるものはありませんよ」


こうして、木波の骨だけが残り、事件は終わった。

教師が複数、逮捕された白陵高校は、その後ワイドショーを賑やかすが、それは別の話である。

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消えた模範生 真瀬洸 @manosekou

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