01 ―Conversation:Daniel×Veronica―
「聞いてくれるかい、ベル! 今日の僕は、この埃まみれのカーテンを翼にして空を飛べるような最高の気分なんだ!」
「ちょっとダニー! はずしたならさっさとよこしなさいよ。あんたってば放っといたら永遠にカーテンの1枚も洗濯しないんだから。おばさまに頼まれて来てやったあたしの身にもなってよね!」
「来てやったなんて大げさなもんか。君の家は、いまだに僕んちのお隣なんだからね。子供の頃はたまたま実家が隣同士だった。けれど、都会に進学してお互い一人暮らしを始めた今も隣同士。これはどういうことだろうね? ちなみに先に家を決めたのは言わずもがな僕の方だよ?」
「そ……! ……そんなの、たまたまよ! あたしが住みたい部屋の隣を、あんたが先に決めちゃっただけじゃない!」
「ベロニカ……こんな無駄話はいつだってできるじゃないか。それよりも聞いてくれよ! 今日だけのスペシャルな話をさ!」
「……ったく。何よ? 恋人でもできたって?」
「そんなことじゃない。……――いや、それも遠くはない、かな?」
「……え?」
「いいかいベル⁉ 僕はついに、女神に出会ったんだ……! 僕の感性を刺激する、美しい女神を見つけてしまったんだよ!……? ねえ、聞いてる?」
「……。――……! 聞いてるわよ。何なのよその女神って?」
「いや、ちょっと待てよ? 女神と呼ぶには彼女はあまりに非力で可憐だ。あの子はむしろリトルプリンセス……城に幽閉された、捕らわれの姫君だ」
「……バッカじゃないの?」
「何だよ、嫉妬してるのか?」
「はぁ⁉……えぇ、嫉妬してるわ。こんな男と幼馴染なんかに生まれずに済んだ、あたし以外の全てのラッキーな女の子達にね!」
「ねえ、君も見たいだろう? 彼女の姿を! こっちに来て動画を見てみなよ!」
「カーテンの洗濯をするのよ!」
「気が変わったらいつでも見ていいからね。僕のPCのデスクトップに、彼女のチャンネルのショートカットを置いておくから。《アミーリアch》ってやつだよ!」
「……」
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