彼の者

一〇九/109

まえがき

 一九四五年七月十六日、午前五時二十九分四十五秒。米国ニューメキシコ州ソコロにて、地球上初めての核実験である「トリニティ計画」、実行。北緯三三・六七七三度 西経一〇六・四七五四度地点にプルトニウム爆弾「ガジェット」が投下された。

 爆発の一秒から二秒後、そこには小さな太陽が存在していた。その太陽は空に浮かぶあの太陽よりも、明るく、綺麗で、熱い。紫色から緑色へと変わりゆく光は、この宇宙に点在するどんな恒星よりも綺麗で、美しいものだった。

 実験は成功し、様々なデータが得られた。この新型爆弾は二十五キロトン分のTNT爆薬と同等の威力がある。そこまでは予測できる内容ではあったが、一つだけ全く予測には無い奇妙なデータがあった。

 爆発の〇・〇一五秒後から〇・一五八秒の間にのみ、核分子エネルギーが予測の約六百倍検出された。その後核分子のエネルギー値は、予測の約〇・七倍に。誤差の範囲内に収束した。

 その一瞬で増幅した核分子エネルギーは一本の細い線のようになっているようだ。それは大気圏を突破していたと予測されている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

次の更新予定

毎週 日曜日 22:00 予定は変更される可能性があります

彼の者 一〇九/109 @109music

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ