肩越しに

進藤 進

第1話 匂い

微かに香る。

その匂いに違和感を覚えた。


通勤電車でうつるものではない。

こびりついた強い匂い。


一度きりなら。

忘れていた筈だけど。


二度目は。

気持ちが許さなかった。


問いただそうと思ったけど。

お休みのキスの後で背中を向けるあの人に。


抱きすがる気持ちが。

何故か、消えていたのです。

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