　残業だよカラス。

「カア……あなたも大変なのね。ほら、これあげる」

　小石か……ありがとう。

「別に同情してるわけじゃないからね。鳥も人間も、生きていくのは大変なのよ」

　君はハシブト？　ハシボソ？

「私はハシボソガラスよ。見た目で分かりなさいよ」

　ハシボソ好きだよ。すらっとしていてきれい。

「そ、そう？　当然よ。私のような美しい鳥は他にいないもの」

　そうだね。カラスは美しい鳥だよ。

「それに賢いのよ。証明してあげるわ。ほら、このパンくずは三日も前のものなの。賢いから分かるのよ」

　大天才だね。

「まあそうかもね。私たちの知能は、人間の子供並みって言われているわ」

　僕は人間のほうが、頭が悪いと思うよ。頭が悪いというか、愚かなんだよ。カラスのほうが賢い。

「そう思う？　でも人間みたいに複雑な言葉喋れないし……。まあいいか、褒められたし」

　喋れないだけで、いろんなことを考えてるんでしょ。学習能力だって高いし、人の気持ちが分かる。

「そうよ。私たちは道具を使えるし、覚えたことを忘れないの！」

　すごいことだよ。

「カァ。人間にそう言われると悪い気はしないわね。他の鳥にも同じこと言ったら嫌よ？」

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