第6話「デッドリンガー」

 毎度馬鹿馬鹿しい、お笑いを…

角を無くした、ゴブリンのユニは、血の流れる額を押さえながら、64号に指示を与える。

「まずは、あの旧式ロボから、片付けろ!女ふたりは、殺すなよ…」

 「誰に命令している…この下等生物が…」

64号は、ユニの両目に指先を突っ込み、そのまま持ち上げ、軽く左右に揺さぶる…すると、目の上の頭頂部と、その下の間は裂け、脳が飛び出した。

「汚っちゃね…」

手をブラブラさせ、血と内容物をふるい落とす。

「あぁん…お姉さまぁ…アタシと遊びましょ…」

呆然と見守る、エレナとディープ、そして、彼の腕の中で怯えるテルザ。

 「お兄様方…初めまして…ムツミ姉さんの妹の、64号デッス…ムジカっ呼んでね…アラアラ…ウフフ…」

 「馬鹿な…人類が、作ったのは…ムツミが、最後だったはずだ…」

特に能力も無く、戦線に参加出来ないディープが、せめて知識だけで、状況に介入してきた…

 「アタシはね…開発途中だった試作機だったの…ムツミの上位機体として…んでもって、魔族に盗まれて、魔改造されたっちゅ〜わけさ…」

 「ワタシの…妹…カワイイ…エヘッ」

 「近づいちゃダメ!」

無防備に近寄っていく、ムツミの間に入るエレナ。 

 「どけ…ババァ…」

ムジカの掌から、瞬間に発せられた散弾は、エレナの身体を貫いた…様に見えた 

 「ママ…逃げて…」

が…突如前にワープしてきたテルザは、その攻撃を防御していた。

 「やるな…運命の子…」

ムジカが、攻撃対象をテルザに向けようとした時…

 「ワタシのハニーは、殺らせない…」

ムツミが、妹の腕を掴み、一本背負いで地面に叩きつける…地割れが起こり、噴煙の中に消える64号。

 「ゴメンね…ムジカ…貴女とは、こんな形で会いたく無かった…」

人間っぽい事言う63号に、周囲は戸惑ったが…アイツが、まだ健在なのは周知だった。何故なら…晴れた煙の中に、彼女の姿は無かったから…

「あぁ…もう、いいや…死霊悽惨…」

ムジカが、そうつぶやくと…地中から、魔族の屍体が、這い出してきた。そして、エレナ達を襲撃する…能力者の母娘は、手元の光源を駆使し、撃退するが…ディープはなすすべも無く、立ち尽くす…

 「どうしたの…お姉さま…その程度…」

目からビーム、指からミサイル、胴体から、メガ粒子砲、膝と足先からも砲弾を発射し、ムツミを追い詰める…

 「エネルギー充填120%…」

63号の胸が開き、巨大な射出口が、現れた…光がその内側に集中する。

「イイね…それでこそ63号…魔族を全滅させた伝説の…」  

「真理の扉…ブレイクオンスルー…エヘッ!」

瞬時にムツミの前面一帯は、光に包まれ…一面灰と化す…

 「愛してるわ…お姉さま…」

ムジカは、灰の中から…這い出し、姉に鞭と化したロッド(竿)を巻き付け…その身体を粉砕する…バラバラになるムツミ…

 「負けちゃった…エヘッ…」

ディープの足元に、人の顔を模した…妙にカワイイ顔(頭部)が転がる…

「ハニー…アタシとおいで…フフフ…」

「ムッちゃん…」

手を伸ばすムジカ、ムツミを想い、涙するテルザ…

状況を把握出来ず…戸惑う彼女は、ムジカの腕の中に…

 「返して…私の娘よ…」

手を伸ばすエレナであったが…娘を抱えたロボは、はるか上空を飛行していた…

どさくさに紛れ…エレナを抱きしめ、ただ見送る事しか出来ないディープ…

 「この…ヘ.ン.タ.イ」ガクッ…

ムツミの断末魔であった…

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