ルームメイトが釣り系男子だった件について

@perari

第1話

俺には、ある「裏の顔」がある。

実は、男主人公×男主人公のBL小説を書いてるネット作家なんだ。

作風?決まってない。

インスピレーションが来た時はちょっと変態になるし、来てない時も変態になる準備中って感じ。

……正直、ちょっとだけ後ろめたい。

芸術は生活から生まれるって言うし、俺の小説に出てくるルームメイトたちは、すでに五百ラウンドは超えてる泥沼の愛憎劇を繰り広げてる。

読者もそろそろ飽きてきたみたいで——

「先生、小説は面白いんですけど、そろそろカップル変えませんか?」

「この二人、もう2000話くらい苦しんでません?お願いですからハッピーエンドにして!」

……

コメント欄を眺めながら、俺は静かに頭を抱えた。

だって、俺の生活は「寮⇄教室」の往復だけ。

ネタ元なんて、室友(ルームメイト)くらいしかいないんだよ!

そんな時、編集からひとこと:

【もうひとりの室友、忘れてない?】

ああ……仁野 光(にの ひかる)。

うちのルームメイトのひとり。スタイル抜群、服のセンスも完璧。

そして、神様に愛されたかのような顔面。

家も金持ち、成績も優秀……他の室友いわく、

「仁野があと5人この世にいたら、全員独り身になるわ」ってレベル。

あまりにも完璧だから、唯一の欠点である「無愛想さ」も、むしろ魅力に思えてくる。

このクールな性格、いわゆる“釣り系男子”そのものじゃないか!

【他の二人はガチでゲイっぽいけど、仁野がもしホモフォビアだったらどうするの?】

もし小説でモデルにしてるってバレたら、俺、ガチで生きて帰れないかもしれない……!

【姿だけ借りたってことにすればいいんだし、バレても「偶然です」で押し通せるよ。

 むしろ、新しいアカウント作って別名義で投稿しよう?そうすれば身バレもしないし。】

編集の提案はいつもギリギリを攻めてくる。

でも、もっとヤバいのは——俺、それに乗っちゃったんだよなあ。

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