第6話

だんだん腹が立ってきて、ついに我慢できなくなり、彼の胸筋をパンッと一発叩いた。

「好きじゃないって何だよ!俺が3年間も好きだった子が告白してんのに、お前は一瞥もくれねえんだぞ。

大学に入ってからも、先輩や後輩が告白してくれても、お前はそっぽ向いて逃げてるじゃねえか。

去年の夏だって、母さんが言ってたよ、毎日お前の後ろをついて回る女の子がいるのに、まったく相手にしねえって。」

坂本は眉をひそめて、冷たい顔で、感情のない声で俺に尋ねた。

「俺に彼女の告白を受け入れてほしいのか?」

受け入れる?

坂本がおれの3年間も想ってた女の子と一緒になるなんて想像するだけで、心はまだズキズキ痛む。

やっぱり俺、あの子が本当に好きだったんだな。

「もちろん、無理だ!」

そうはっきり言ってから、坂本を見た。

こいつはクソ野郎だけど、昔から意外と義理堅いところもある。

「坂本、俺たちって親友だよな?」

坂本は何も言わず動かない。彼の性格はわかってるから、俺は自分で続けた。

「もうこんなことが二度と起きないように、約束してくれ。

俺の好きな女の子を二度と奪わないって。

そうすれば、俺たちは一生親友でいられるんだ。」

坂本はうつむいて俺を見て、そっと尋ねた。

「親友?」

彼は近づいてきて、俺の肩に顎を乗せた。

ちょっと重くて、俺は嫌がって肩を揺らしたけど、坂本は微動だにしなかった。

しばらくしてから言った。

「女の子じゃなきゃダメか?」

顔は見えなかったけど、俺は口をとがらせて答えた。

「そんなの当たり前だろ。お前、男と付き合うわけないだろ?」

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