第4話

高校3年生の放課後、自習中のこと。クラスメイトの理紗ちゃんから突然、紙切れが回ってきた。

女の子からメモが来るなんて、最初はちょっと嬉しかったんだけど…開けてみたらこう書いてあった。

「悠真、坂本と一番仲いいけど、彼はどんな女の子が好きなの?」

紙に書かれた言葉を見つめると、嫉妬と怒りが一気に込み上げてきた。

隣の席で机に突っ伏して寝ている坂本をこっそり覗き込みながら、俺は悪戯っぽくニヤリと笑った。

そっと坂本の方向を手で隠しながら、紙に小さく書き込む。

「誰が坂本は女の子好きだって言った?」

ははは、坂本、ついにお前にもこの日が来たか。俺は彼女ができないけど、お前も諦めろよ。

そう思ってメモを回した直後、背後に冷たい視線を感じて振り向くと、坂本の黒い目が俺をじっと見ていた。

「ごほっ、ごほっ…いつ起きた?」

「さっき。」

俺は心臓が跳ね上がった。このクソ野郎、見てたのか?

動揺して、「うるさくしちゃった?はは…」と苦し紛れに言ったら、

「うん。」

嘘だろ!俺、一言も声出してないし!でも悪いことしてるから、今は反論できなかった。

坂本はまた無表情で寝たふりをしたけど、俺にはバレバレだった。

自習が終わって帰ろうとしたら、彼はさっさと外に出ていった。

「坂本、どこ行くんだ?」

背を向けて三文字だけ返ってきた。

「トイレ。」

また冷たく装いやがって、俺の胸はざわついた。

それで、急にひらめいて、こっそり後をつけた。

すると、階段の踊り場で理紗ちゃんと話しているのを見つけた。

近づきすぎず、なんとか名前だけ聞こえた気がする。

やばい、理紗ちゃんは誘惑に負けて俺を裏切ったんじゃないか?

くそ、男のプライドかけての勝負だ!

でも、どうやら理紗ちゃんは何も言っていなかったみたいで、坂本はいつも通りだった。

その後、理紗ちゃんは授業中や休み時間に突然振り返って、俺と坂本を見ながらニヤニヤ笑うようになった。

その笑顔がまた気持ち悪くて、鳥肌が立つんだよな…。

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