人生逆転させたい主人公の物語

ベガさん

第1話 始まりの記憶

【第1章:始まりの記憶】


> 家庭環境は、最悪だった。

東京の足立区で生まれた俺が、

最初に覚えている音は、

両親の怒鳴り声だった気がする。

まだ言葉も満足に話せない年頃だったのに、

喧嘩の言葉だけは、耳に刺さるように覚えている。


幼稚園に入るか入らないか、その頃だったと思う。

両親が離婚することになった。

大人たちは勝手に決めていた。

だけど最後の最後に、

なぜか俺に“選ばせる”という残酷な役割が回ってきた。

「お母さんについていく? それとも、お父さんと暮らす?」

そんなの、子どもに選ばせるもんじゃない。

でも、俺は——選ばなきゃならなかった。







俺は……お母さんを選んだ。

ただ、それだけだった。

「優しいから」——たったそれだけの理由。


子どもなんて、複雑な事情なんてわからない。ただ、怒鳴らない方、泣かない方、少しでも自分を抱きしめてくれる方を選ぶ。

それが俺にとっての“正しさ”だった。


お母さんは、俺にとって唯一、

笑ってくれる存在だった。

それがどんなに疲れた顔の裏の笑顔でも、

俺には救いだった。


離婚が決まったあの日のことは、

今でも夢に出てくる。


離婚して、俺は母と一緒に生きていくことになった。

けれど、その生活は長く続かなかった。


お母さんはすぐに再婚した。

相手は大阪に住んでる男の人だった。

名前も、顔も、どんな人かもわからないまま、

俺の“次の人生”が決まった。


引っ越しが決まったとき、

頭の中を真っ先によぎったのは——

親友のことだった。

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