第2話

玉藻が望を保護してから結構な年月が経過した。

玉藻と雅は毎日望に愛情と力を注いでいき、望は四歳の時点ですでに玉藻との手合わせ―望は遊びだと思っている―で互角の戦いを繰り広げることが可能になっていた。

そして現在…

「玉藻母さん、この子怪我してる」

「おや、その子はダンジョ…我が家の外でお仕事をしてる子ね…何かあったのかしら」

「お母さん、この子治してあげていい?」

「ええ、お願いね」

そして望が手をかざすとそこからがあふれ、みるみるうちに子狐の傷を癒していった

(まさか、人の身でありながら金色の魔力を持つとは…おそらく原因は私たちでしょうけど…ふふふ、これからがさらに楽しみね)

玉藻がこんなことを考えるのにはきちんとした理由がある。

そもそもの前提として魔力には色が存在している。

人が持つ魔力の色は5つ

赤色が【炎】

青色が【水】

緑色が【自然】

白色が【光】

紫色が【毒】

そして属性がなく、強化魔法などに用いられる無属性は無色

といったように得意属性の色になる。

ちなみにモンスターは一部の例外を除きフロアボスとダンジョンボスのみが魔法を使うことができる。

その魔力の色は

黒色の【闇】

そして白銀の【守護】だ

ほかにはその個体の身が扱うことができる特殊な属性も存在するがそれは今話すことではないので省略する。

話を戻すが望の魔力の色は【金色】

そして金色の魔力が扱える属性は【創造】

ありとあらゆる属性を生み出し、使いこなせる人でもモンスターでも確認されたことがない属性なのだ

余談だが、望の魔力の色について玉藻と雅は全く関係ない。

本人の素質だったということだ。


「…ん?玉藻母さん、なんか足音しない?」

「…おや、そのようだね」

望がダンジョンの中で過ごしてからもごくまれにこの最深層に殴り込みをかけようとする冒険者愚か者はいる。

ボスである自分が生きている限り後で殺されたモンスターは生き返ることができるが、なかなかにうざい。

それはそうだろう

人間から見たモンスターは攻略対象やネタ、人類に牙をむく脅威ととらわれいているが、モンスターからしたら自分の家であるダンジョンに不法侵入し、なんなら家族である同胞を殺して備蓄している資源を根こそぎ持っていく略奪者なのだ。

そんな輩を歓迎するだろうか。

まあ、するだろう…罠と怒りに燃えたモンスターたちの歓迎会を。

「玉藻母さん、ほっといていいの?」

「ああ、どうせすぐ帰るだろうからね」

「…?わかった!」

まだこの子はそこら辺については疎い

だからこれから徐々に教えてあげよう。

あどけない笑顔を見ながら玉藻はそう決意するのであった。


ちなみにそのシーンは雅によってほかのモンスターたちに伝えられ、『俺たちのボスは親ばか』という話になったそうな。

ちなみに雅はしばかれた。

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