え、モンスター弱くない?—難易度最恐のダンジョンで育った少年、都会で無双する

シェヘラザード

第1話 

ダンジョン

それは約40年ほど前に急に世界中に現れた迷宮

その中には人知を超えたモンスターや武器が眠っていた。

それはさながら誘蛾灯のように

ダンジョンに力を求めるものがどんどん挑戦していき、中にはその様子を配信して日銭を稼ぐ者もいた。

そしてそれぞれのダンジョンには核となる『ダンジョンコア』とそれを守護する『ダンジョンボス』が存在する。

そしてダンジョンボスの中には知性が高く人語を話し、対話を成立させることが可能な存在もいた。

たとえば、今街中を歩いているなどが当てはまる

_____________________________________

その狐は、退屈だった。

毎日訪れてくる冒険者襲撃者

ちょっと狐火で炙れば簡単に尻尾を巻いて逃げる弱者

最早自分がこの国を乗っ取り、内側から冒険者を強くして戦いを楽しみたいとまで思い始めていた。

「…おや?」

そんな思いを抱えながら己の管轄するダンジョンに戻り、ふと彼女が足元を見ると、捨てられた赤子が目に入った

なにも驚くような光景ではない

ダンジョンができて以来、望まれない子供はよくダンジョンに捨てられるようになった。

大抵…ほとんどだが、捨てられた子に待っているのは死のみだ。

そもそもダンジョンで最弱と言われているスライム種ですら、子供では苦戦する強さなのだ。

ましてやここは最恐と恐れられている小野塚ダンジョン

単純にモンスターが強いだけではなく、九尾である自身の権能によりマッピング不可能、常時幻覚状態、濃い魔力が渦巻く空間と冒険者殺しのオンパレードなのだ

むしろこれを突破して彼女のもとにたどり着ける冒険者がいることに驚くところだろう。

話がそれたが、このような空間において、赤子程度は普通、即死するはずなのだ

だが、目の前の赤子は生きている

精神に異常は見られないしなんなら笑っている。

「…面白い、もしかしたら…」

彼女は期待した

いまはまだ未熟だ

だが磨けば自分に匹敵する強さになるかもしれない。

「期待しているぞ…望」

彼女は赤子に望と名前を付けた

「あうー?」

「ふふっ…とりあえずは乳だな」

そういったあと、彼女はとりあえず乳母としてメスのミノタウロスを呼びつけた

ミノタウロスは頭が牛で体が人間の戦士だ。

そしてたいていが名前持ちである

だが牛の特徴である乳は普通に受け継いでる。

彼女であれば大丈夫だろうと彼女は思った。

「たのんだぞ、雅」

「かしこまりました」

「…お任せください」

これが後の世にて語り継がれる最恐のダンジョンボスである…玉藻と望との出会いであった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る