ふたつきここのかふたにつき
鎌とと鰤
第1話 あっちはないないこっちはあるある
誰かが私を呼んでいる。
血眼になって呼んでいる。
見つけないでほしかった。
見つからないでほしかった。
見つかったらこの関係が壊れてしまう、そう感じていたから。
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乙女ゲームを始めた理由は好きな声優が演じているただそんな理由だった。
そんなくだらない理由で始めた乙女ゲームは僕に衝撃を与えた緻密なストーリーとキャラの心情が細かく胸を撃ち抜かれた。
なんも趣味もない僕の唯一の趣味になった。
最初からこんなに感銘を受けたものだったから他の乙女ゲームにも期待した。
それが僕の人生の大きな分岐点だった。ゲームショップで新しく買ったゲームを手に帰る途中車に轢かれた。あの日あの時間あの交差点を通らなかったらと今でも思う。
今?なぜ現在形?轢かれたのに生きていたの?そう感じるかもしれない。僕はあのときに死んだそして生まれ変わった。最初で最後の僕がプレイした
乙女ゲーム《マジカル・ラビリンス》の
彼女はゲームの中で全ルートで悪事を働き、最後には断罪されるキャラだ。
主人公のヒロインにいじめまがいの行動をしたり、他のルートでは魔王と契約をして人間の敵とした主人公達と戦う敵キャラとして登場する。
主人公に悪事を働く彼女のことは嫌いだったが彼女の行動がスパイスのように働き主人公達の行動が良く感じるのだ。そういう面で僕は彼女のことが好きだった。けど、本当に好きだったのは違うキャラだった。
しかし、悪役令嬢である、彼女が断罪されるのは15歳からの学園に入学してからだ、いまの僕は6歳まだ時間がある。悪役令嬢になった悪役といっても悪事をして、そのしっぺ返しをくらったからなので、悪役令嬢の逆の行動、つまり良い事をしていけばいいのだ。
そう思えば簡単な話だ。そう考えたのが転生しすぐのことだった。
悪役令嬢になってしまったけど、大好きなゲームの世界に転生したことはとても嬉しかった。しかし、その前にやることがあった。
宣言しよう。僕は童貞だ。今まで女性経験が一切ない、女性に触れたことなどもない。
しかし、いまの体は女性だ、そうだ胸を揉もう、胸を揉んだら。童貞(胸を揉んだことあり)になり、少し泊がつく昔の僕が少しでも浮かばれるという話だ。
そう思い指をワキワキしながら僕の胸に近づけて揉んだ感触はなかった。
彼女はゲームのイラストからも分かる貧乳だった。しかし、貧乳でも胸を揉んだのなら感触がすこしでもあるはずだった疑問に思い、僕は服の上から体を確認した。
ない、ないのだ。貧乳で言い表せないほど胸がないのだ。
慌てているとなぜか下の方に違和感を感じた。スカートごしに手を突っ込んで確認してみると逆にそれはあった。
女性には決してあるはずがない僕の旧知の親友が。
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