第51話 ミズホと救出作戦開始
ルアナが囚われていると思われる駐屯地に、私とエリーで乗り込んできた。
正面突破って聞いたときは「え、マジで?」って思ったけど、いざ目の前に立つと……なんか想像より行けそうな雰囲気がする。気のせいかな?
駐屯地の入り口付近が、ものすごいことになってた。人だかりで揉めてる。声がでかい。
「おい、どういうことだよ、ルアナちゃんを捕まえるとか!」
「それがお前らのやることか!」って――これ、住民の抗議? いや、ギルドとの衝突? よくわからないけど、なんかいい感じの混乱だ。
そしたら誰かが声をかけてきた。
「おっ、ルーシーさんが言ってたミズホちゃんとエリンちゃんは君たちかい?」
「あ、ええ、そうですけど、この騒ぎは?」
「ルアナちゃんを捕まえたことに抗議に来た街の住人たちと、ここ出身のギルドメンバーだよ。ルーシーさんがホーリーライトとガチでやり合うって言ったから、参戦に来たんだ。俺たちも今回は黙ってられねえからな。ほら、今が侵入のチャンスだ。ここは足止めしとくからさ」
うひょー、マジでルアナ、人徳ありすぎ。さすがだな。ルーシーさんの号令で、街の人もギルドの人も集まってるのか。ホーリーライトの兵も慌ててる様子だし、今だ、入れ――って感じ。
「ギルドの人たちに感謝ね。今なら楽に入れるわ、行きましょう、ミズホ」
「そうね、入ろう」
てなわけで、私たちはギルド勢の後押しで駐屯地の中へ滑り込めた。中は思ったより人が少ない。入口の騒ぎに人員が割かれてるんだろうね。探すなら今がチャンス、って感じ。
「さて、ルアナはどこに囚われてるのかな?」って胸がざわつく。見つけたい。早く顔を見たい。
「うまく入れたわね……とは言え、油断は禁物よ?」
「わ、分かってるよ、エリー」
中の構造がわからないから、とりあえず手当たり次第に探すのは危険だ。誰か倒して問いただす、って方法も頭をよぎるけど――やばい。エリーにすぐバレるし、そもそもそれで侵入がバレたら意味がない。
「ミズホ、あまり物騒なこと考えないで。あなたのことだから、誰か一人でも倒して聞き出そうとか考えてるでしょ」
……う、読まれてる。エリー、もはやエスパーか。私の悪い癖を見抜くなんて。
「そんなことしたら、侵入が露見して捜索が厳しくなるだけよ?」とエリー。うん、冷静。正論。やめとこう。
「ミズホ、ストップ。誰かいるわ」
エリーが低く囁く。行く先は訓練場っぽい場所。声が聞こえる。二人が言い争ってる。片方はリーファ大尉らしい――アイツの声は聞いただけでぎょっとする。もう片方は、私たちと同じくらいの女の子だ。
会話が耳に入る。
「私は反対よ! 街の人を武器で制圧するなんて!」
「あなたの考えなど関係ない。我々のやり方が妥当だ」――リーファの冷たい論旨。
女の子は声を振り絞って抗議する。悔しそうに震えるその顔が痛々しい。
リーファはあっさりその場を離れ、「私は別の任務で離れる。戻るまでに片付けられる人を選ぶ」と言い残す。うわ、任せるのかよ。なんて無慈悲。
女の子は取り乱し、部下に慰められてるみたいだ。「隊長……」「ごめんなさい、取り乱したわ……」「いいえ、我々も隊長と同じ考えです」ってやりとり。部下の声に彼女がうつむく。
……もし、あの子がルアナに反発してるんなら、こちらに傾けられるかも。味方になってくれたら――一気に有利になるかもしれない。
(もしかして、彼女なら味方につけることができるかも……?)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます