第9話 ミズホと闇の精霊の始まりの運命

「そういえば、あなたの方は何かわかったの?」


(確証はないが、我はどうやら閉じ込められているらしいな)


「えぇ…また随分とフワッとしてるわね」


(仕方ないだろ、動けないのだから)


はいはい、偉そうな口調で何もわかってないのは相変わらずっと…。

この態度、ちょっとムカつくんだけど。助けてあげようとしてるこっちの気持ちとか、お構いなしって感じ?


「とりあえず、今の時点では手がかりなしってことね。さて…これからどうしようか、エリー?」


エリーは腕を組んで、ちょっと真剣な表情になった。何か考えてるな…って思った瞬間、スザクが妙に得意げな顔で口を開いた。


「ミズホと闇の精霊くん、君が彼女に声を届けられた理由、分かったぞ。君たち、波長が合っているんだ」


――……は?


「精霊契約者になる者の中には、ごく稀に“契約する前”から精霊の声を聞ける人間がいる。つまり、ミズホとこの闇の精霊は――将来、契約を結ぶ運命にあるんだよ」


(我が…この小娘とだと…!?)


うわー…口悪っ!ていうか、「小娘」って何よ!?今カチンときたからね!?こっちは手伝ってやってるっていうのに!


「なるほどね。だからミズホに声が届いたのね。スザクの言うこと、一理あるかも」


「えっ!?エリーまで納得しちゃうの!?」


「私が、この…名前もろくにわからない闇の精霊と契約者になるかもって!? ねえ、スザク、それ本当に本気で言ってる?」


「事実だよ。ぷぷっ」


……なんか楽しそうなんだけどこの鳥!?

からかわれてる?からかわれてるよね、完全に!


「そりゃさ、エリンの親友にしては色々と型破りだと思ってたけど、まさか“闇の精霊の契約者になる運命”まであるとはねぇ。こりゃあ面白くなってきたな!」


「なっ…!このヤロー、いい加減に――!」


スザクのくちばしをひねりたくなってたその時、エリーが慌てて割って入ってきた。


「ま、まあまあ…!でもさ、逆に考えたらスザクがこれだけ冗談っぽく言ってるってことは、闇の精霊って言っても“悪意に満ちてる”存在じゃないってことなんじゃない?」


うーん、エリーの言いたいことはわかるけど、正直スザクの冗談が余計すぎて冷静になれないんだけど!?


「精霊が危険かどうかは、契約者がどう使うか次第。ミズホなら、闇の精霊の力を変に悪用したりしないだろうさ」


…あれ?それってつまり、私を信用してくれてるってこと?

なんか…急に真面目なトーンで言われると、照れるんだけど。


「とりあえず、ミズホ自身が今すぐ危険ってわけじゃないのがわかっただけでも、良かったんじゃない?」


うん、そうかもしれない。

まさか自分が精霊契約者になる“運命”かもしれないなんて、まだ頭が追いつかないけど――


でも、私の中で確かに何かが動き始めてる。

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