白雪姫の母~リリアンの物語~
山下ともこ
第一章:~美しき少女、そして王妃へ~
冬の夜、ひときわ明るい星が空に輝く頃、一人の女の子が生まれました。
彼女の名前はリリアン。
その肌は雪のように白く、頬はバラのように赤らみ、瞳は吸い込まれるようなスミレ色をしており、誰もが一目でその美しさに心を奪われました。
「なんと愛らしい子だろう。」
リリアンの母親はその小さな手を握りながらそう呟き、
父親も感動の涙を隠せませんでした。
リリアンは成長するにつれ、その美しい姿だけでなく、
心の優しさでも周囲を魅了していきました。
リリアンの美しさに嫉妬や妬みを覚える者も多く居ましたが、
そんな人たちをもリリアンは優しく包み込み、
リリアンを苦手と思う者は誰一人としていませんでした。
年頃になったリリアンの噂は、遠くの国迄届くようになり、
その美しさと清らかさを知った人々は
「まるで女神が地上に降り立ったみたいだ」
と語り伝えました。
そんなリリアンの話に興味を覚えたのが隣国の王、エドワードでした。
エドワードは王宮の使者をリリアンの元に使わせ、結婚を申し込みました。
家族や村の人々は彼女の幸せを願い、
リリアン自身も王の求婚を受け入れることを決めました。
~華やかな結婚式~
リリアンとエドワードの結婚式は、国中を巻き込む一大イベントとなりました。
純白のドレスを身にまとい、輝くティアラを頭に乗せたリリアンは、
まるで夜空の星々が形を成したかのような美しさでした。
式場に集まった人々は息をのむように彼女を見つめ、
神父様もリリアンの姿にくぎ付けになる程でした。
王は
「君は、私の人生に光を与えてくれた。」
そう囁きながら、彼はリリアンの手にそっと口づけをしました。
新婚生活は誰もが羨むほど幸福なもので、リリアンとエドワードは深く愛し合い、支え合う、素晴らしい夫婦となりました。
王は毎日、リリアンの美しさを褒め称え、
彼女もまた、そんなエドワードに感謝し愛を深めて行きました。
~新しい命の誕生~
結婚から数年が経った冬、待望のお知らせが王宮に響き渡りました。
リリアンが、元気な女の子を産んだのです。
「雪のように白い肌、薔薇のような赤い頬…
なんて美しい赤ちゃんでしょう。」
リリアンは新たに授かった小さな命を腕に抱きながら、
母親としての幸せを噛みしめました。
「この子を、世界一幸せな娘に育てよう。」
リリアンの瞳には、母親としての決意と愛が溢れていました。
王宮中が歓喜に包まれる中、
この姫は「白雪姫」として語り継がれる物語の幕を開けることになるのです。
続く~第二章へ~
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