MAJIC FIGHT【マジック ファイト】

@ZIPPERKUN

第1話 故郷

――十年前のあの日、世界を震わせた大事件が起きた。なぜ、世界の中心街が滅びたのか。もう真実も闇に葬られ始めた。みんなの心の中からも消え失せ始めたそんな時期。一人の少年は動き始めた――


――ここは魔法界。みんなが当たり前のように魔法を使って生活している、そんな世界――


「カイトー、ご飯できたよー」

一つの幸せそうな家族が夕方頃、食事を始めた。家族と言ってもお母さんと男の子の母子家庭だが、二人とも幸せそうだ。


美味しそうにご飯を食べているのは”カイト”という八歳の男の子だ。それを嬉しそうに眺めているのは少年から”ピンキーさん”と呼ばれている女性だ。


ご飯を食べたカイトは家を抜け出し、近くの森に向かった。

「おー!カイトが来たぞ!」

そう言って笑顔で手を振る男の子は”リク”と呼ばれている。リクは森の中で唯一の広場にいた。カイトが広場に着くと、リクの他に六人の友達がいた。

「みんな!遅くなってごめん!!」

カイトは笑顔で手を振り返した。


「よーし!みんな集まったことだし、なんかしよーぜ!」

リクが言う。

「じゃあさ、私が昨日見つけた遺跡に行ってみようよ。」

一人の女の子が口を開く。

「遺跡?」

「この森に遺跡なんてあったのかよ!」

「えー楽しみ!早く行きたい!」

みんなが口々に言う。カイトも楽しみにしながら遺跡に向かった。


「すげぇ...」

カイトは驚いた。いつも遊んでいる森にこんなでかい遺跡があったなんて...。当たりはもう暗くなっていた。


暗い遺跡を進んでいくと行き止まりに当たった。リクが壁に触る。

「進めない...行き止まりみたいだ。」

「...!!」

女の子が倒れ込む。

「どうかしたか?」

カイトは焦ったように聞く。

「それ行き止まりじゃないよ。触っちゃったから...!!」

カイトは意味がわからなかったが、そこで事件は起こる。

「これ、でかい石像だ!」

リクが気付いたが、女の子が言う。

「ダメ!近づくな!!」

そう言った瞬間、石像と思っていたものが動き出してリクを襲った。

「リク!?」

カイトが叫んだ。瞬間、カイトの体に重い衝撃が走る。


目が覚めたカイトは、頭から血が出ているのに気がついた。化け物も仲間たちもいない。カイトはとりあえず、家に帰ろうとした。しかしそこであるものを目にする。


いつもの中心街がボロボロの状態になっていた。その中心では、カイトたちが動かした化け物が街を荒らしていた。化け物を止めようと、魔法を使って応戦していたのはピンキーさんだった。ピンキーさんはすでにボロボロの状態で戦っていた。


カイトはその様子を黙ってみることしかできなかった。

「嘘だろ...俺のせいで」

ピンキーさんは最後の力を振り絞って、攻撃をした。...が、怪物に簡単に弾き返され吹き飛ばされた。


「ピンキーさんが...」

カイトは自分がしたことを恨んだ。

「あの時俺等が遺跡に行かなければこうなってなかったのに...」

そう思った瞬間、事態は動く。


怪物は何者かに、一撃で殺されていた。


「どうやって...?」

カイトは驚いた。すごい魔法の使い手だと感じた。


カイトが中心街に行こうとしたその時、後ろから足音がした。

「!!?」

後ろにはフードを被った男がピンキーさんをおぶっていた。男はやってしまったと言わんばかりに言った。

「バレちまったかぁ、こいつが見つかると面倒くさいんだよなぁ...」

カイトは困惑した。

「ま、まぁピンキーさんを助けてくれたんだろ?ありがとう!早く手当しないと...!」

フード男は笑った。

「あーはっはっはっは!俺の計画はお前のせいでめちゃくちゃなんだよなぁ!!」

カイトは何を言っているのか分からなかった。

「まぁいいさ、とりあえずこいつは貰っていくからな...」

カイトは、構えた。

「そんなこと、させるかっ!」

風魔法 ウインドブレイク!

カイトが放った魔法はフード男に軽々と弾かれた。

「嘘だろ...」

「もういい...お前は邪魔だ!!」


カイトが住んでいたロース島は滅びた。後に救助隊が到着したが生存者ゼロ名、死者およそ一万三千人に上る。ロース島は人が住める環境じゃないと判断され、地図から消された――











  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

次の更新予定

毎週 日曜日 21:00 予定は変更される可能性があります

MAJIC FIGHT【マジック ファイト】 @ZIPPERKUN

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る