第二最終序章
何が起きた?どうして俺は下半身が剥き出しなのだ。
「・・・おい、痴女」
「何だよ短小」
物凄い直球の言葉のハンマーが振り下ろされた。これならヘビー級ボクサーにノーガードでストレートを喰らった方がまだ気持ち的には無傷だったろう。
俺はショックのあまり、ズボンを上げる事さえ出来ないでいた。俺が目覚めたことを察し、異世界三人組がとてつもない嘲りと嘲笑を込めた冷めた目線を、俺と俺の持ち物に向けていた。そこだけ液体窒素を浴びたかのような、見たこともない冷め切った視線であった。
レオナが一言だけ吐き捨てた。
「⌧⎇⌧」
「おい痴女、何つったこの獣耳。どうにも聞き流せない侮蔑を感じたぞ?」
「えー?あたしは心優しいからなー。ちょっと翻訳するのはあんたの心の平穏の為には躊躇しちゃうなー。《小っさ》だってさ」
「言ってんじゃねーかっ!つか、さっきも言ったじゃねーかっ!!もっとどストレートにっ!!!」
俺はスボンをたくし上げると、なけなしのプライドが音を立てて崩壊していくのを感じていた。
そう。俺の持ち物は日本人平均に比べると、若干コンパクト設計であった。書くな!!これはさすがにプライバシーの侵害も度が過ぎる!!
この状況でハーレムしない訳だわ。うわー、可哀想。
同情するな!!憐れむな!!放っておいてくれよ、俺の事は!!ハーレムしないのは別にこれが理由じゃねぇわ!!俺の平凡さの象徴をバカにするのもいい加減にしろ!!
平凡以下じゃん(笑)。うわ、小っさ(笑)。
だーまーれー!!そこは一番個人情報の中でも取り分け秘中の秘だろうが!!(笑)ってのを止めろ!!お前らがどれほどの物だっつーんだよ!!
痴女アプリによると、俺が気を失うと、酒盛りしていたレオナが俺を犯そうと襲い掛かったらしい。他の二人は《ゲテモノ食い》と諌めたそうだ。誰がゲテモノだ。
レオナが俺に向けていた視線は、生命的搾取ではなく、性的搾取だったらしい
本来、奔放な獣人は性的ハードルが極端に低く、アルコールによって、あっさり決壊したそうだ。そして期待を込めて俺のスボンを下ろすと、そこには小さな俺の息子さんが縮こまっていた。
三人は、俺の持ち物を肴に、散々笑いものにしていたらしい。って、そこまで詳しく説明する必要があるか?そこはもう少しボカシて表現しても良くないか?武士の情けは無いのか?
レオナは散々俺の持ち物を弄んだそうだが、俺のナニはしょぼくれたままだったそうだ。
そりゃそうだ。
俺は勃起不全なんだよ。
うつになってからこっち、ほとんど反応は無いんだよ。お一人様事情なんて嘘だよ。少し見栄張っただけだよ。いいだろ、それくらい。誰かに迷惑掛けたか?あぁ未成年者はここを読まないように。
ここ最近はトイレ以外で使い道のない、排泄口でしかないんだよ。
そりゃ風俗遊びだって止めるよ。純粋に本気で金の無駄でしかないんだから。嬉しいか?男たる者の最後の砦をここまで虚仮にして。何がハーレムうはうは展開だ。美人だから何だって?虚しいだけだわ。
俺にとっては何の意味も無いんだよ。
ましてや異世界汚染されたこの状況で。
俺の心もまた三人組の視線以上に冷え切っていった。そして静かに
俺は立ち上がると、下卑た笑いを浮かべて目配せする三人の背後に近寄り、いつの間にか手に持っていたアイスピックをまずレオナの左側頭部に、返す手でセリスの頭頂部に次々突き立てた。俺のどこにそんな爆発的な瞬発力が、と自分でも不思議なくらいの早業であった。二人は無言でその場に倒れると、ビクビクと痙攣しながら、消えていった。
残るは高慢ちきで高飛車なだけの無力な王女だけだ。
「⋔⎊⍀⎇! ⍀⎇⎈⍙!! ⍙⎌⎇⌧⎇⌧! ⏃⎈⎇ ⍀⎌⌧!!」
「お前の許しなんて必要ないんだよ」
何故か、俺には王女様が何を言っているのか判った。もはやこの物語を支配しているのは俺だ。痴女アプリなど必要無かったのだ。
俺はスマホにアイスピックを突き立てた。リチウムイオン電池からガスが吹き出て、一瞬で炎に包まれた。さらば痴女アプリ。
この世界に必要のないものは、どんどん削除していくべきだった。俺は俺のことをとやかく書くヤツも、とやかく批評するヤツもいらない。俺は語るに足らない平凡な男で済ませておきたかったのに、お前らが俺を物語るから、俺自身が実力行使に出るしか無かったのではないか。
この王女とやらも可哀想にな。
何の見せ場もなく、ただただ父親の敵を討つという名目で担ぎ上げられてこんな物語に登場させられて。
相手が父を倒した英雄なら、お姫様扱いされると思ったか?従者の二人と恋の鞘当てでも起こると思ったか?美貌には自信があったんだろうな。その気になるくらいなんだから。
何しろヒロインだ。
気付いていたか?
俺はお前の容姿について、殆ど触れてない。金髪碧眼なんて履いて捨てる程いる消耗品でしかない。いくらでもいる量産型ヒロインがお前だ。
お前は梃入れの為だけに、もっと言えば色気を消費するためだけに、読者に選ばれた。俺の日常には何の役割も果たせないとも知らず。
土台無理な話だ。俺は物語られる事を拒否する勇者だ。こんな物騒な異世界ファンタジーになるとは、聞かされていなかったのだろう。
登場すれば話が通じると思ったか?
父の敵を討って、お前の世界が復活するとでも?そんなはずがあるまい。
お前は存在しなかった。
さぁ、もうお終いだ。俺の事はもう書くな。
まだ続けるなら、お前を
異世界が逆召喚されてきたが、俺は日常を捨てないし無双もしない 遠近普遍 @occcamnk
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