【自主企画参加】サラリーマンと月夜の蛍

野口マッハ剛(ごう)

夏の夜の田舎

 本当に田舎だよな。


 夏の夜の散歩は、本当に退屈だけど誰にも邪魔をされなくて済む。


 オレはケンタ。アルバイトは飲食店。この田舎から原付バイクで行っていたりもする。正社員かぁ。ぶっちゃけアルバイトは気が楽で良い。サラリーマンは責任とか多そうで何だかなぁ。


 蛍がユラユラと飛行している。あとは蚊もいる。さっきからかまれていてかゆい。本当に田舎だよな。まあ、落ち着ける場所だけどね。


 ふと、前方にスーツ姿の男が立っている。顔は暗くてよく見えない。蛍がユラユラと飛行している。すると、スーツ姿の男がキレッキレのダンスを踊り始める。


 オレは急なことでポカーンとなる。しかし、キレッキレのダンスがカッコいい。彼の顔を懐中電灯で照らしてみた。店長がキレッキレのダンスを踊っていた。


「どうしたのですか? 店長?」


「サラリーマンと月夜の蛍。ダンス大会に向けて練習中さ」


 いや、百歩譲ってダンス大会は分かる。


 じゃあ、こんな田舎でどうしてキレッキレのダンスを練習する必要があるのか?


 聞いてみた。


「サラリーマンは辛くなる。だからこそ、ダンス大会で結果を残すべく、サラリーマンと月夜の蛍。と言うダンステーマを研究中さ」


 なるほど、分からん。


「いやでも、店長がキレッキレのダンスを踊って、カッコいいですよ」


「ありがとう」


 こうして、店長はダンス大会で優勝を果たしたらしい。


 う~ん。やっぱり、分からん。

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