The Third Season 機械障害
第22話 機械音痴症候群
精神科医、一ノ瀬和夫が開発した医薬品、「ラパール」によって、田村ゆなの症状は劇的な改善を見せた。方向音痴な点と敬語が離せないのは相変わらずだったが、それ以外の症状は標準のレベルに達したと言っていい。彼女の精神疾患は、「田村障害」と名付けられた。以後、彼女以外にもこの障害を抱える者が出てきたが、薬物療法により多くの症状は緩和した。
2425年9月、発達障害という概念は完全に消失した。従来は、身体や、学習、言語、行動の何らかにおいて不全を抱えた状態であるこの障害も医療及び情報通信技術の著しい進歩により、この障害を持つ多くの人が社会に適応した。だが、何をするにも、機械が必要不可欠となるこの時代に、新たな脅威が発生した。
機械音痴症候群…
それは過去より遥かに使用頻度が多くなった電子機器を上手く扱うことができずに、日常生活に困難を抱える人々のことを指す。ゆなは、ラパールを処方してから文字を読むことができるようになったが、この障害の対応には少し苦慮した。というのも、彼女自身も機械が得意な方ではなかったからだ。しかし、機械の使い方さえわかればお手の物だ。夫の健斗に使い方を教えてもらい、それを参考にして患者の脳を上書きする。これによって、多くの患者が救われた。
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