第7話 ゴンベエの奇妙な趣味

馬車の中、商人の父親は何度もタクミに感謝の言葉を述べた。娘は、少し離れた場所から、興味深そうにタクミを観察している。


そんな中、ゴンベエはというと、何やら落ち着かない様子で、ソワソワしていた。


「あの……ゴンベエさん、どうかしましたか?」タクミが声をかけると、ゴンベエは少し顔を赤らめて言った。「実はな……オレには、変わった趣味があって」


「変わった趣味、ですか?」


「ああ。女性の……その……履いている物の匂いを嗅ぐのが好きなんだ」


タクミは、ゴンベエの突拍子もない告白に、思わず言葉を失った。まさか、そんな趣味を持っているとは……。


隣に座っていた娘は、ゴンベエの言葉を聞いて顔をしかめた。「気持ち悪い!」


ゴンベエは慌てて弁解した。「いやいや、決して変な意味ではないんだ! ただ、その……香りが好きなだけで……」


商人の父親は、娘を窘めるように咳払いをした。「まあまあ、落ち着け。人にはそれぞれ好みというものがあるんだ」


しかし、娘の嫌悪感は隠せない。ゴンベエは、ますます居心地が悪そうにしていた。


すると、娘が何かを思いついたように言った。「あの……お礼と言ってはなんですが、私の靴の匂いを嗅いでいただきますか?」


タクミは驚いた。まさか、そんな申し出をするとは。


しかし、娘は真剣な顔をしている。「ただし、私の今履いている靴は汚れていますから、予備の靴と交換します。そちらの方が、まだ綺麗だと思いますので」


そう言って、娘は自分の靴を脱ぎ、父親の持っていた予備の靴と交換した。そして、その靴をゴンベエに差し出した。


「どうぞ」


ゴンベエは、目を輝かせて靴を受け取ろうとした――その瞬間、彼はバタリと倒れてしまった。


「ゴンベエさん!?」タクミは慌てて駆け寄った。


娘は、少し意地悪そうな笑みを浮かべて言った。「・・・私の靴と違って、お父さんの靴は、かなり強烈な匂いがするんです。きっと、それにやられたんですね」


商人の父親は苦笑しながら言った。「うちの靴は、確かに汗臭いからな……」


タクミは、まさかそんな形でゴンベエが気絶するとは思いもよらず、呆然としていた。


しばらくして、ゴンベエは目を覚ました。顔色は青ざめ、ぐったりとしている。「うう……なんという……強烈な香りだ……」


娘は、少し申し訳なさそうに言った。「ごめんなさい。やりすぎましたか?」


何度も書くが

ゴンベエの前の前の魂は犬である・・・

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