第2話 塔

 向こう側の人達はいつも僕たちを見る時は首を下にしている。


 ぼくたちは彼らを見る時は首を上にする。


 この差はいったいなんなんだろう。

 ぼくはそう思った。


 彼らのように大きなものを作れば何かが変わったりするのだろうか。


 ぼくはそう思ってガラクタや廃材を積んでみる。

 大きな塔を作ればきっと彼らと同じものが見えると思ったから。


 ガラクタや廃材は積み重ねては崩れ、積み重ねては崩れていく。

 時にはイジワルな人達に邪魔をされて、崩されてしまったこともあった。


 でもぼくはそれを辞めなかった。

 きっと何かが変わると思ったから。


 ひとりぼっちだったけど、頑張ってガラクタを積み上げて、廃材を重ねていった。


 たくさん、たくさんの失敗を経て、その塔は少しずつ大きくなっていった。


 初めは小さな小さなものだったけれど、ぼくは頑張った。

 頑張って……凄く頑張ったから、この塔はもうすぐぼくの背を追い越そうとしていた。


 ぼくは少しだけ心が踊った。

 彼らが見ているものが見れるかと思ったから。


 ガラスの向こうの景色を眺めると、彼らは何か大きなものを作っていた。


 たくさんの人がいる。


 彼らは笑ったり、話し合ったりしながら丸い鉄の棒を組み立てていた。


 作っているものはとてもとても大きかった。


 まだ作っている途中なのはぼくにもわかる。

 それでも重なっている鉄の棒の数はとても多くて、ぼくが首を上にしても1番上は見えないほどだった。


 そんな大きなものを彼らはみんなで作っているんだ。


 ぼくは自分の塔を見た。

 あんなにも大きく感じた塔はとてもとても小さく見えた。


 ぼくはその足で塔を蹴った。


 塔が崩れた音は、彼らが作っているなにかの音によって聞こえなかった。

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