隔離区域の少年
夕雲
第1話 ガラスの向こうの景色
ここは隔離区域。
ぼくはその区域の住民だ。
ぼくたちが住んでいる隔離区域と彼らが住む居住区の間は、とても大きくて、分厚くて、とても頑丈なガラスの壁によって隔たれている。
居住区の風景はいつもキラキラしていて、たくさんの建物がいっぱいある。
でもぼくたちの住む隔離区域はガラクタや廃材の山があるばかりだ。
隔離区域の住民は、とても悪い病気を持っていてそれがうつるといけないらしい。だから彼らはこの大きなガラスの壁でこの区域を隔離したそうだ。
ぼくはそんな病気にかかっているなんてわからないけど、きっとそうなんだろう。
それでも彼らとかかわり合う方法はいくらでもある。
そのひとつが向こうにあるおめぐみばこ。
ガラスの向こうの彼らの方にもおめぐみばこはあり、そこにものを入れてくれたらぼくたちの方にあるおめぐみばこからそれが出てくる。
食べ物、おもちゃ、本、よくわからないもの……。
それは様々だ。
おめぐみばこに入れる人にも色々いる。
いつも何かを入れてくれる人、たまにだけどくれる人、よくわからないものをいれる人、すごい量のものをくれる人…………。
ぼくたちは彼らにありがとうを伝えながらそれを貰う。ガラスのせいで声は届かないけど。
でもおめぐみばこの周辺にはいつもイジワルな人達が座っている。
だからぼくはおめぐみばこから何かを貰えたことなんてほとんどない。
だからぼくはいつも彼らが流すゴミの川から何かを探す。
ここにもイジワルな人は沢山いるけれど、ゴミの川はとてもとても広くて長い。
だからぼくはイジワルな人がいない場所で何かをさがす。
今日はいいものを見つけた。
美味しそうな鳥の骨。まだ皮もついている。
ぼくは今日もガラスの向こうで白くてフワフワした何かを楽しげに食べる彼らを見ながらご飯を食べる。
これがぼくの日常。
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