草原のカタルシス

ロムブック

草原

草原

まだ新しい家が建つ前

背丈ほどの草の茂み


そこに何があるのかという

期待


期待は小さな船を運び

大海原へ


どこかの夕食の匂いで

家へ帰る


親の期待通り

新しい家が建つ

背丈は伸びて

草原に行くことはない

月日は過ぎる


バッタ

カマキリ

カタツムリ

カエル

ヘビ

カラス


草原

それは彼らの住処だった


少年は大人になり

あの日を思い起こす

あの時の草原は

どこにもない

行こうとしても

もうないのだ

あの時以外には

どこにもないのだ


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る