草原のカタルシス
ロムブック
草原
草原
まだ新しい家が建つ前
背丈ほどの草の茂み
そこに何があるのかという
期待
期待は小さな船を運び
大海原へ
どこかの夕食の匂いで
家へ帰る
親の期待通り
新しい家が建つ
背丈は伸びて
草原に行くことはない
月日は過ぎる
バッタ
カマキリ
カタツムリ
カエル
ヘビ
カラス
草原
それは彼らの住処だった
少年は大人になり
あの日を思い起こす
あの時の草原は
どこにもない
行こうとしても
もうないのだ
あの時以外には
どこにもないのだ
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